欧米の学者が続々発表脳トレに効果なし⁉

政府は昨年、脳科学の研究や治療薬の開発などに最大300億円を計上、認知症予防は今や国家プロジェクトとなりました。そうして研究が進むにつれ、認知症対策の常識も変化しています。例えば2006年、新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた「脳トレ」です。ボケ防止としてゲームやパズルを楽しんでいる人も多いでしょう。

ところが近年、脳トレの効果に、疑問の声が上がるようになりました。スコットランド王立病院などの研究では、クロスワードや数独に認知機能の低下を防ぐ効果はないという研究データを発表しています。またスタンフォード大学などの研究により、「脳トレゲームの効果は科学的根拠が不十分」という声明も発表されています。

例えば筋トレでも、ジムでがむしゃらに筋トレだけを続ければいいというわけではないでしょう。筋肉の成長のために栄養を補給しなければなりません。脳も同じです。ゲームや写経やパズルをすることは悪いことではありませんが、ひたすらそれだけ続けていれば脳の衰えが防げるかというと、そうはいかないのです。

脳の場合はトレーニングよりも、脳に溜まったゴミをクリーニングすることが先決になります。そのゴミの名前は、アミロイドβ。認知症は一般的には、長年にわたってこの物質が蓄積されることで発症すると考えられています。脳内で作られるたんぱく質の一種で、そもそも誰の脳にも存在する物質ですが、普通は短期間で分解、排出されます。ところがこのアミロイドβが異化などすると脳に蓄積されて、健康な神経細胞にまとわりつくことがあるのです。