6 “ながら有酸素運動”を習慣化して日々実施

ドーパミンを分泌して脳のゴミを分解する

運動のなかでも長時間続けることができる有酸素運動は、アミロイドβの排出に有効です。仕組みはこうです。有酸素運動をすると、ドーパミンと呼ばれる神経細胞を活性化するホルモンが分泌されて、アミロイドβを分解する酵素を増やすことができるのです。またピッツバーグ大学の研究によると、有酸素運動は海馬の大きさそのものを増やして、記憶力改善の効果まで認められたとのことです。

体操をする女性
写真=iStock.com/Prostock-Studio
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これは有酸素運動に限った話ではありません。体を動かすことが少ない座ったままのデスクワーク中心の仕事に携わっている人は、体を動かす職業に携わっている人より、認知症のリスクが高いこともわかっています。ほかにも世界中で運動の有用性を認める研究結果が、次々と報告されています。

ただし、運動のやりすぎには、注意しなければいけません。例えばスクワット。関節に負担をかける運動なので、とくに高齢者にはおすすめしません。また筋トレやジョギングなどハードな運動も必要ありません。目的はあくまでも血流やリンパの流れを改善して、脳のゴミの排出を促すこと。

自宅でおこなえる関節への負担が少ない運動を毎日習慣として続けることが、脳にとっては有効です。“ながら”でもできる簡単で効果的な方法を、下表でいくつか紹介します。

【図表】いつでもどこでもながら有酸素運動

 

7 深呼吸で自律神経を整える

私たち現代人は意識しなければ、胸で呼吸をする胸式呼吸をしています。そこで時には、意識を持って腹式呼吸をすることをおすすめします。腹式呼吸をすると脳に送られる酸素の量が増えるほか、自分の内臓に意識を向けられることもポイントとなります。

私は腎臓の本を出していますが、「腎臓ってどこにあるんですか?」と聞かれることが多かった。自分の体のことなのに、まったくわかっていない人が意外なほど多い。自分の体のうちに今どういうことが起きているか、しっかり体と対話する時間が必要です。これには意識しておこなう腹式呼吸がとてもいいのです。

8 香りを楽しんで海馬を刺激

また記憶を司る脳の一部、海馬を刺激すると認知機能の改善に効果があるといわれています。この記憶の力を高めるために必要といわれてきたのが、繰り返し覚える反復学習です。ただし好きでないことをひたすら繰り返すだけでは、記憶力が高まることはありません。その行為に興味関心があり、それが好きという感情がともなって初めて、反復学習が成果を生みます。

海馬を刺激して活性化するもののひとつに、香りがあります。とくに好きな香りなら海馬は活性化します。カレーなどのスパイシーな香りは、海馬を刺激する効果が抜群です。