現職の強みを生かし、無痛分娩費用の助成だけでなく、第2子以降の保育料無償化を第1子にも適用し、大学生向けに返済不要な奨学金制度も創設することも盛り込んだ。首都の防災にも力を入れ、木造密集地域の解消や避難所の環境改善に取り組むとしている。
「神宮外苑再開発」は都知事選の争点か
蓮舫氏は同じ18日午後の記者会見で、小池氏同様、公約の最重点に少子化対策を挙げ、対象を現役世代に絞って若者の手取り収入を増やす必要性を強調した。具体的には「どんな境遇にいる若者でも学べる、働ける、結婚できる、子供を持てる、そんな人生の選択肢がある東京都にしたい」と述べた。
6月19日の日本記者クラブでは、出馬予定者を招いた共同記者会見で、大量の樹木伐採と新植を伴う明治神宮外苑の再開発事業をめぐって、小池、蓮舫両氏の間に火花が散った。蓮舫氏が「再開発はいったん立ち止まる。知事選の争点だ」と切り込むと、小池氏はすかさず「争点にはならない」と反駁したのだ。
小池氏は、東京都が再開発事業者らに樹木を極力残す保全策を示すよう求め、その間、事業者が伐採作業をストップしていることも付け加えた。これには少し説明が要るだろう。
神宮外苑は、宗教法人明治神宮の私有地であり、再開発事業は三井不動産など民間企業によるものだ。東京都は事業認可する立場だが、手続きに瑕疵がなければ、環境や景観を理由にこれを拒むことはできない。現に、神宮外苑再開発をめぐって、最高裁が今年3月、周辺住民らが都に事業認可の効力停止を求めた申し立てを退ける決定を下している。
明治神宮は、内苑の広大な自然林や社殿の維持管理費を、外苑の神宮球場や秩父宮ラグビー場などスポーツ施設の事業収益で賄ってきた。今回の再開発も、内苑の緑を守るという考えの延長線上にあるのだが、住民への説明不足もあって「木を切るな」という反対運動が起き、都が矢面に立たされている。小池氏にすれば、争点どころではないのだろう。
「カイロ大が卒業を認めている」
日本記者クラブでの共同記者会見では、小池氏の学歴詐称疑惑も改めて取り上げられた。元都民ファースト事務総長の小島敏郎弁護士が学歴詐称を主張しているカイロ大卒業について改めて証明を求められ、「もう何度も(卒業)証明は出している。どこにはんこが足りないとか言っておられるようだが、カイロ大そのものが(卒業を)認めている。何度もこんなに大学が卒業証書をネットにさらしている他の政治家がいるのか」と、これまでも示してきた見解を改めて述べたのである。
小池氏をめぐっては、前回都知事選を控えた20年5月、ノンフィクション作家の石井妙子氏による『女帝 小池百合子』(文藝春秋刊)が出版され、カイロで同居していた女性らの証言を基に「カイロ大卒業が虚偽ではないか」との疑惑が持ち上がった。