カイロ大は同年6月、駐日エジプト大使館を通じ、学長名で小池氏の卒業を認める声明を出し、小池氏も前回知事選前に卒業証書、卒業証明書を公表していた。
今回24年は小島氏が4月10日発売の『文芸春秋』5月号で、当時のカイロ大学長声明は小池氏に依頼された元ジャーナリストが大使館の声明案を作成し、詐称疑惑を隠蔽しようとしたものだ、との告発記事掲載に踏み切った。小島氏は6月18日には、小池氏が虚偽の学歴を公表したとして、公職選挙法違反で東京地検に告発状を提出している。
新聞などのメディアは、この問題を追う能力に乏しい。学歴の真偽を解明するにアラビア語を駆使し、エジプト軍政下のカイロ大関係者をこれまでの経緯を含めて調査・取材するのは、荷が重く、限界があるだろう。
これまで参院議員1期、衆院議員8期、都知事2期を務めてきた政治家としての実績を前にして、今更という気分にもなるのか。メディアは、小島氏らの言動に寄りかかって、小池氏に見解をただすしかないのかも知れない。
小池氏が蓮舫氏を12ポイントリード
小池氏は、故安倍晋三元首相が「敵にすると怖い」と最も警戒した政治家だ。安倍氏が2017年9月、衆院解散に持ち込んだのは「小池新党」が台頭する前にという戦略だった。小池氏は、予想通り解散表明の日に「希望の党」を立ち上げ、翌日の各紙1面に「自公対希望」という見出しが躍った。
『安倍晋三回顧録』(中央公論新社刊)によると、安倍氏は「小池さんにやられた、と思いましたよ」と振り返っている。その後、小池氏は「排除」発言で失速し、衆院選で負けたことで、都政に専念することになる。
安倍氏は小池氏を「ジョーカー」と呼び、「ある種のゲームでは、グンと強い力を持つ」「彼女は、自分がジョーカーだということを認識していると思います」と語っていた。小池氏は「私はハートのエースよ」と返すのが決まり文句だったが……。
今回の東京都知事選の情勢はどうか。自民党本部が6月15~16日に実施した都知事選情勢調査では、小池氏44%、蓮舫氏32%、その他の候補16%、不明・未定が8%だった。東京都の有権者は1150万人に上る。前回20年の都知事選の投票率は55%だったが、今回も前回並みだとすれば、小池氏がざっと260万票、蓮舫氏は190万票という計算になる。
日本経済新聞は21~23日に序盤情勢調査を実施し、小池氏が先行し、蓮舫氏らが追う展開となっている、と報じている。