「なんか違うな」を繰り返すと言語化ができるように

〈例:休日の朝、散歩に出かけたとき〉

信号が青に変わった。右側から、小さな、3歳ぐらいの男の子と、お父さんらしき人が、手をつないで、ゆっくり歩いてくる。
男性の手には、近所のパン屋さんの紙袋。その向こうからは、大きな犬を連れた高齢の男性が歩いてくる。犬の、茶色がかった毛並みに光が当たって綺麗。
すれ違う瞬間、私がじっと見ていたからか、飼い主さんが、軽く会釈し、「こんにちは」と言ってくれた。

ゴールデンレトリーバー
写真=iStock.com/gurkandeniz
※写真はイメージです

このように、目に見えたものや聞こえたこと、感じたことを、「とにかく口にしてみる」と決めてみてください。

難しいことを言わなくても、語彙力が多くなくても、口に出すと決めるだけで、より詳細に観察できるようになります。

実際に口にしてみると、あれ、なんか違うな、この言葉では言い表せていないな、と感じることがあるでしょう。

そのときに、「この言葉じゃなかったらなんて言ったらいいんだろう」と考える、その繰り返しで、言いたいことが、言葉にできるようになっていきます。

会話中での発言にも有用

実況中継に慣れると、会話の途中で何を言っていいかわからなくなったときにも、役立ちます。

たとえば、意見を求められたけれど、パッといい言葉が浮かばないとき。

「言いたいことが頭には浮かんでいるんですけど、うまく言葉にならないです」と素直に言ってみたり、「お話に聞き入っていて、自分の意見を考える余裕がなかったです」と状況を説明したり……。

もっとフランクな場であれば、「いきなり話を振られて、焦って、考えていたことが全部飛んでしまいました!」でもいいかもしれません。

「えっと」「あの」で止まらずに、今、自分に起きていることを実況中継してみましょう。

普段から口に出す練習をしていると、いざというときにパッと言葉が出るようになります。