進捗状況が可視化される

このやり方には4つのメリットがあります。

1つ目は自分自身へのリマインド効果。チャットを確認すれば作業の抜け漏れを防げます。

2つ目は他のメンバーとの連携。同僚が「備忘録」を見て、声をかけてくる場合があります。

例えば「このお客さん、私も接点があるので連携しませんか」といった形です。備忘録に関係者が「この指とまれ」する機会が生まれるのです。

沢渡あまね『悪気のないその一言が、職場の一体感を奪っている』(日本能率協会マネジメントセンター)
沢渡あまね『悪気のないその一言が、職場の一体感を奪っている』(日本能率協会マネジメントセンター)

そして3つ目は報告の簡略化です。わざわざ報告の時間をつくらなくても、進捗状況が可視化されます。

「いつ報告しよう/させよう」のような気遣いがなくなっていきます。

さらに4つ目、その人以外の人でも対応できるようになります。

例えば本人や家族の突然の体調不良などで、期日にその対応ができなくなった場合。備忘録程度にでも案件チャンネルに残しておけば、他のメンバーが引き継げたり、その備忘メモをお互い見ながらチャット、オンラインミーティング、音声通話などで他のメンバーにフォローをお願いしやすくなります。

報告しやすい仕組みをつくる

マネージャーやリーダーは忙しいため、メンバーは報告のタイミングがつかめないもの。そのままではいつまでたっても情報共有の接点をつくれません。まるで天の川の織姫と彦星状態です。

七夕祭り
写真=iStock.com/nikoniko_happy
まるで天の川の織姫と彦星状態(※写真はイメージです)

「報告の時間」を設けたり、いつでも報告できる「案件チャンネル」をつくったりして、報告なる行為のハードルを下げましょう。

業務プロセスを見直して、お互いの立場をリスペクトする形に整えていく。報告しやすい仕組みをつくる。それによって、情報共有の遅れはなくなっていきます。

無駄ないざこざも起こらなくなっていくでしょう。

さらには「報告」なる上下関係を匂わす行為が、横でフラットに情報共有をし、解決する「相談」の文化に変わっていきます。

日頃のコミュニケーションの仕方は、ツールの使い方次第でも変わってくるのです。

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