「ムリなお願い」をされた時の“うまい切り返し”

では、正解のパターンを見てみましょう。

まず、やるべきは「4つのステップ」で調整すること。こんな感じです。

【Step①】事実確認
お客様「高すぎだよ。100円だったら検討するけどね。できる?」
営業「100円ですか……。想定していなかったので、ぜひ伺っていいですか? 100円とおっしゃるには、背景があると思うのですが、何かあるのですか?」
お客様「そりゃ、今は仕入れ価格が上がっているので、少しでも下げないとね」
営業「そうでしたか……。100円である理由は、どんな理由でございますか?」
お客様「いや、100円に理由はないけど、少しでも下げたいんだよ」

ここで、100円にしないといけない理由はないことがわかりました。

次にお客様の「ニーズ(今、求めていること)」を確認します。

【Step②】ニーズ確認
営業「ところで、今回、弊社の話を聞いてくださったのには、何かご期待があってこそだと思うのですが、差し支えなければ、お伺いしてもよろしいですか?」
お客様「そりゃ、お客様に目新しい商品を揃えておく必要があるからね」

ここで、お客様の「ニーズ」が確認できました。

「不安」を聞き出し、「代替案」を示して交渉を試みる

さらに、「ご不安」な点を確認します。

【Step③】不安の確認
営業「期待していただき、ありがとうございます。今でも十分ではないか、と思うのですが、どうして品揃えを気にされるのですか?」
お客様「最近は、人気商品の入れ替わりが早く、常に新しい商品を揃えておかないとお客様が不満に感じてしまうからね。難しい時代になったよ」

お客様の「不安」を聞けました。

さて、ここでいよいよ「代替策」を示します。

【Step④】代替策の提示
営業「教えていただき、ありがとうございます。ここまで伺いながら、申し訳ございません。100円では難しいのが現状なのです。
例えば、いかがでしょう。お客様を飽きさせない企画のご提案をさせていただきましょうか。POPを作成するなど、販促企画をこちらでさせていただきます。きっと売上に貢献できると存じます。実際、他のお客様でも、売上が上がり、喜んでいただいています」

いかがでしょう。

こちらだと信頼されませんか?

まず、「できる、できない」で回答をしようとしないでください。

聞き手に回った上で、交渉のカードを引き出し、その上で代替策を示すほうが、むしろ営業としてより信頼されるのです。

ビジネスパートナーとミーティングする人
写真=iStock.com/VioletaStoimenova
※写真はイメージです