「勝ち組」「負け組」を超えた次元で、高齢者になっても実社会で困らないタイプはどういう人物か。80代で現役実業家の松本徹三さんは「常に冒険心があり、人見知りせず、決断が早い人であること」という――。

※本稿は、松本徹三『仕事が好きで何が悪い! 生涯現役で最高に楽しく働く方法』 (朝日新書)の一部を再編集したものです。

通勤風景
写真=iStock.com/gyro
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あなたと会社は目標が一致しているか

あなたと会社の関係は、良好であればあるほどいいに決まっています。良好な関係とは、会社は(正確には「あなたの上司は」と言った方がいいでしょう)、あなたの働きぶりに満足しており、あなたは、会社が(正確には「あなたの上司が」)好きで、会社のあなたに対する待遇に満足しているということです。

また、あなたと会社の関係は、濃密であるほどいいでしょう。「あなたと会社の関係が濃密である」というのは「その目標とするところが一致している」ことを意味します。

目標とは、例えば「格好いい車を作る」とか、「どこにいても必ず快適に反応するスマホを売る」とか、「正確な天気予報を出す」とか「面白いテレビ番組を作る」とかです。

あなたが今やっている仕事が、たとえ直接にはほとんど無関係であっても、「それが回り回ってこういった目標の達成に繋がっていくのだ」ということが少しでも感じられていれば、それだけで十分だと思います。

関係が緊密なら、あなたと会社の一体感は高まり、それは必ず、あなたの毎日の幸福感に繋がるでしょう。

しかし、現実には、世の中はそんなに都合良くはできておらず、あなたと会社との関係は、あまり良好ではなかったり、ちっとも濃密ではなかったりします。

そんな時、あなたはきっと、「この会社にずっと勤めて、今のような生活をズルズル続けていて良いのだろうか」と思うでしょう。

会社の全てが好きになれなかったり、上司が心底腹立たしかったりした時には、この思いはさらに高まってくるはずです。

会社にうんざりしたらすべきこと

そんな時はどうすれば良いか? 私のアドバイスはいつも通り至極簡単明瞭です。

「泣き寝入り」以外のすべての選択肢を試すこと。

具体的には、生意気と思われるのを覚悟で「配置転換」を求めるとか、思い切って「転職」するとかです。

昔は、職を転々とする人は、「会社に対する忠誠心がない」従って「望ましくない」人物として、ネガティブに見られることが多かったのですが、今はそんなことはありません。

外国の会社がそうであるように、今は日本の会社の多くも、「毎年4月に一律に学卒を採用して、自社のやり方で、自社にとって都合のいい社員へと育てていく」という、日本独特の人事政策を転換しつつあります。

新しい事業が新しい職場を作り出し、そこに上手くハマる人材が必要になったのなら、社内だけでそういう人材を求めるのではなく、広く社外に門戸を開いた方がよいのは当然だからです。そして、今は、多くの「転職」がスムーズに行われるのを助ける「システムや企業」も、数多く存在しています。

多くの職場を渡り歩く人は、「忍耐力がない身勝手な人物」であるわけでは決してありません。

「常に上を目指している人」かもしれないし、「常に新しい挑戦をしたい人」かもしれません。冒険心があり、人見知りせず、決断が早い人であることは間違いありません。そして、こういう人は、高齢者になってもあまり困ることはないと思います。私が望むような「良い高齢者」の候補者は、こういう人たちの中に数多くいるような気がします。