「国政に復帰し、もうひと花咲かせたい」

筆者が「衆議院への鞍替えを視野に」と述べたのには理由がある。自民党東京都連関係者によれば、4月28日に行われた衆議院補選(東京15区、島根1区、長崎3区)を前に、萩生田光一前政調会長が小池氏に東京15区からの出馬を打診している。

このときは、衆議院の解散総選挙の時期などが読めないことなどから見送られたが、この関係者の言葉を借りれば、7月15日には72歳を迎える小池氏の中で、「なるべく早く国政に復帰し、自民党に戻って、もうひと花咲かせたいとの思いは消えてはいない」という。

一方、過去にも都知事選候補に名前が取り沙汰されてきた蓮舫氏はどうだろうか。蓮舫氏が最終的に出馬を決断したのは5月26日の夜のことだ。立憲民主党の都連関係者は語る。

「5月1日の都知事選候補の選考委員会で、蓮舫さんに近い都連幹事長の手塚仁雄衆議院議員に『説得してみてくれ』という話が出ました。それまでは、一時、塩村文夏参議院議員でどうかという声もありましたが、塩村さんは45歳と若く実績が少ない。

結局、蓮舫さんが、手塚さんからの『都政から国政を動かそう』という言葉や、静岡県知事選挙で立憲民主党などが推した鈴木康友さんが勝ったのを受けて決断してくれましたから、いい戦いになると思っています」

選挙に負けても蓮舫氏は損をしない

この頃、立憲民主党が行った情勢調査では、小池氏が40%、蓮舫氏が30%と十分逆転できるポイント差であったことも蓮舫氏の背中を押したと言っていい。

その蓮舫氏も、出馬を決断するまでは「衆議院に鞍替えしたい」との思いがあり、党側も衆議院の解散総選挙があれば、東京26区(目黒区・大田区)で蓮舫氏を公認する方向で調整を進めていた。

その26区はまだ候補者が空白となったままで、仮に、蓮舫氏が都知事選で敗れたとしても、衆議院に鞍替えする機会は担保される。しかも、総選挙の時期はそう遠くない。

鞍替えに成功すれば、9月に予定される立憲民主党の代表選挙で泉健太氏(49)が再選されたとしても、いずれ泉氏の対抗馬として、政治の師と仰ぐ野田佳彦元首相(67)を、同じ野田門下生の手塚氏らとともに推し立てることもできる。つまり、蓮舫氏からすれば、都知事選に出て何ひとつ損はないということになる。