先日、私はあるメディアで中国最大の家電メーカー・ハイアールのタイ工場の奮闘ぶりを取り上げた。三洋電機のタイにおける製造基地だった同工場は、一度も黒字を計上したことはなかった。5年前に工場がハイアールに買収され、3年前に社長として30歳の青年が送り込まれた。その後、わずか3年で初の黒字を実現した。

同じような奇跡が日本にもあった。80歳近い老人が何も持たずに倒産後の日本航空に乗り込み、わずか2年でこの「傲慢さ、横柄さ、プライドの高さが鼻につき、お客様をないがしろにする」会社を見事再生させた。

再生の旗手である稲盛和夫氏が創業した京セラの歴史と彼の経営哲学を描いた『敬天愛人』(1997年刊)に、その後の歩みを加筆して新装版として発行されたのが、本書『ゼロからの挑戦』である。これを読んで、稲盛氏はやはり神話的な経営者だ、と改めて認識した。稲盛氏は本書で、航空運輸事業に何の経験も知識も持っていないが、日本航空の再建に携えていったものは経営哲学「フィロソフィ」と経営管理システム「アメーバ経営」だ、と語っている。

【関連記事】
再生完了!JAL流「アメーバ経営」を解剖する
破綻前と破綻後何が違うのか -JAL・大車輪改革の一部始終【1】
JAL再上場でもまだまだANAが有利な理由
なぜJALは追い込まれてしまったのか【1】
倒産に至る道:JALとダイエーの共通点