「気くばり」と「心くばり」の違い

ここで、気くばりと心くばりについての違いを確認しておきませんか。

きっと、より素敵な行動ができるようになるでしょう。

まず、「気くばり」。

「気くばり」とは、相手より先に気付いて、気遣って差し上げることを指します。言い換えると「ちょっとした思いやり」です。

イメージとしては、「ありがたい」とお客様から感謝される感じ。

「月末はお忙しいと存じますので、中旬あたりのほうがよろしいでしょうか?」

と尋ねるのも気くばりの範疇。

お客様先を訪問する際に、何かお土産があったほうがいいな……と、お役に立つ資料を持参するのも気くばりの範疇です。

まず、営業は「気くばり」のある行動を日常から心掛けておくといいでしょう。

間違いなく、あなたの好感度は高まります。

次は、「心くばり」。

これは、気くばりよりももう一歩進んで、「(わざわざ)必要なことをして差し上げる」こと。言い換えると「サポート」や「手伝い」です。

イメージとしては、前項でも紹介した「え、いいの?」を狙う行動のように、「いや、そこまでしてもらうと申し訳ないし……」とお客様が恐縮される、そんな感じです。

「月末はお忙しいと存じますので、こちらで稟議に使用される資料を準備しておきましょうか?」は、心くばりの範疇。

「製品を納入する際、お使いになる現場の皆様に、使用にむけての勉強会をいたしましょうか?」と申し出るのも心くばりの範疇です。

絶対に契約を落とせない際にする声かけ

では、営業としては、どうするべきなのか。

常に「気くばり」を考え、必要に応じ、「心くばり」を見せる、これがセオリーです。普段からできる「気くばり」とは、こんな感じ。

・言われる前に、「先に調べておきました」と言えるようにしておく
・お客様が稟議を上げやすくするため、予めデータを添えておく
・封書のやり取りで、記載する箇所の多い契約書には、捺印をしていただく場所にわかりやすく付箋を貼っておく
・その際に、切手を貼った「返信用の封筒」も封入しておく
・さらには、その返信用の封筒に宛先の名前(あなたの名前)を書いておく

そんなちょっとした「思いやり」のある行動を考えるといいでしょう。

それだけでも、お客様からの好感度は高まります。

一方で、ココ一番にする「心くばり」は、こんな感じ。

・絶対に契約を落とせない際、お客様にとって稟議に上げやすい資料を作成するのではなく、「直接、私が(お客様の)上長の皆様に説明をさせていただきましょうか?」と申し出る
・他社との違いを見せたい時に、製品を納品するだけではなく「納品後、各拠点に伺い、ご使用状況や課題を確認した上で、レポートいたしましょうか?」と提案する

「わざわざ」それをすることで、「え、いいの?」「申し訳ないね」と言ってもらえるような行動を考えてみるのです。

伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)
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ただし、時間を犠牲にしますので、リターンが見込める「狙い」がないとやるべきではないでしょう。

この「気くばり」と「心くばり」を意識することで、あなた自身の行動に磨きがかかることは間違いありません。

例えば、お客様に封書を郵送する際、「気くばりはできているかな?」とセルフチェックをすることになるはず。

返信用封筒を入れておこうか……など、いろいろと考えるようになるでしょう。

また、ココ一番の際は、「こちらが手伝えることはないかな」と、一歩進んだアクションを考えられるようにもなるはずです。

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