コウジさんの調子もよくなり、今は復職して給与は元通りに(表の「AFTER」)。ただ、娘さんのお金の使い方だけは、一筋縄ではいかなかったようです。
「こういう状況だから、協力してほしい」と両親が訴えても、例えば1回1000円のスタバ代に関しては、こう主張。
「私は別に、友達と最新作のフラペチーノが飲みたいからでスタバに行ってるわけじゃない。小腹を満たさないと帰るまで持たないから、健康のために行ってるの。どうしても私の小遣いから出せというなら、ママがパートで家にいない時にもらう晩御飯のお弁当代1000円をスタバ代に回して、その日の晩御飯は食べないから!」
要は、食事代より友人と立ち寄るスタバ代のほうが優先度は高い、と言うのです。そう言われると、親としては食事を与えないわけにはいかないから、スタバ代を渡してしまう……。
そうしたやりとりも経て、最終的には、「今、パパが調子が悪くてお仕事休んでいるでしょう。いつもの半分以下しか給与がないの。パパが元気にならないと、これからはママのパート代5万円だけでやりくりしないとならない。あなたの大学費用はおろか、来月の住宅ローンも払えない。このままだと、あなたは退学するか、バイト代から生活費を出してもらうことになるかもしれない」と、繰り返し説得すると、娘さんはしぶしぶ了承。
「もし夫が休職していなかったら、娘を説得するのは無理だったと思います」と、カヨさんは苦笑いして言いました。
おかげで月10万円の削減ができましたが、そこに至るまで半年間。毎日のように口を酸っぱくして注意し続けてきたそうです。一度ついた習慣を変えるのは、根気と時間が要るのです。
近年、カヨさんのように子供の気持ちを尊重する“子供ファースト”な親御さんが増えているように思います。ですが、子供の主張をすべてのみ込んでしまうと、いざというとき軌道修正に苦労します。
清瀬さんのケースではありませんが、食べ盛りの子供がいるからと、常に家に菓子パンを常備していたご家庭がありました。この物価上昇で支出を抑えようと菓子パンの購入を止めてみたら、「何で菓子パンを置かないんだ!」と子どもが荒れ、結局菓子パンを買い続けざるを得なかったそうです。
「うちは夫(妻)が子供に甘くて何でも買い与えてしまう」という方は、今からピンチに備え、意識改革に努めたほうがいい。今はゆとりがあっても、いつ何が起こるか分かりませんから。家計のガンは、1日でも早いうちに根こそぎ切り取っておいたほうがいいと思います。