子供ファーストなお金の使い方は後々ひびく

家計の内訳を見ていくと、もう一つ大きな“家族の問題点”が見えてきました。

食費が一家4人で月12万円もかかっていたのです。食べ盛りの男子が何人もいるわけでもないのに、なぜこれだけかかるのか。聞くと、本来ならば本人のお小遣いやアルバイト代から出すべき長女の交際費(飲食など)や娯楽費、嗜好品などを、衣食住の生活費として親が家計から出していたことが判明。

一例をあげると、次の通り。

≪長女が衣食住の生活費として請求していたもの(一例)≫
・「夕飯前の小腹を満たすための食費」という名目で、友達とのスタバ代(飲み物とスイーツ)に1回1000円×週3回分。→月1万2000円が食費に加算

・家族で食べるものの他に、娘の便秘予防として、毎日1パック400円程度のこだわりの乳酸菌のヨーグルトを摂取。→月1万2000円が食費に加算

・必要な服以外でのおしゃれ着

などとなっています。

長女はアルバイトをしていて月2万円の収入があるほか、5000円のお小遣いももらっているとのこと。それなら、せめてスタバ代だけでも月収2万5000円から出せばいいものを、「衣食住にかかる費用を私のバイト代から支払うのって、おかしいよね?」と、請求していたそうです。

スターバックスのフラペチーノ
写真=iStock.com/segray
※写真はイメージです

父親のコウジさんは、「いや、それは衣食住かもしれないけれど、一つひとつがちょっと高くない? ヨーグルトだって、こんなに食べる必要ある? みんなと同じもの食べればいいじゃん」などと、いったん止めるものの、父親がいないところで母親に「お父さんはわかってない!」と交渉。母親のカヨさんは「まあまあ、わかったよ」と、娘の言うがままに財布の口を開く。

さらには、娘と息子は水道光熱費を節操なく使うし、母も日用品はAmazonのセールなどで「安いから」と無計画に購入。コウジさんは、注意はしても反論されれば言い返す気力もなく、溜息をつくばかり。

子供の言いなりにお金を出してきた母とそれを見過ごしてきた父、そしてエスカレートしてどんどんお金を要求する長女。清瀬一家の「お金がない」問題の根本的原因は、この“なあなあ”な家族関係にあったのです。

家族4人で支出50万円超では、いくら収入が高くても貯まりません。家族4人なら35万~40万円くらいの生活費に収めたいものです。教育費は15年先までかかり、夫婦の老後の費用も貯める必要がありますから――。

私がこう話すと、カヨさんは意を決した表情で、「これからは家計を見直します」とキッパリ。それから約半年後――。食費、水道光熱費、日用品費などは大幅に減らした家計簿を提出してくれました。