浅井佳会氏(写真左)は、一喝された話を生々しく語る。

教え込むのは、私たちが飲食業を始めたときに何をしたか、どのように気配りしたかということです。私は宇宙人ではなく人間。だから、私にできたことはあなたにもできる。それを継続できるかできないかが問題なのです。

彼らを叱るのはこういうときです。うちの店は狭いので、どこからでもお客様の視線を感じていなければいけません。背中に目がついていないようなときは、背中を1つピターンと張りますよ(笑)。

顧問(※雑誌掲載当時:夫で創業者の宗次徳二氏)と2人で立ち上げた会社ですから、壱番屋も“子ども”のようなものだと思っています。私は、会社の交際費は一切使いません。交際費名目で支出するのは、加盟店さんのオープン記念に贈る花輪くらいで、海外に行くときも自腹です。なぜかといえば、子どもからお金を取りたくないからですよ。

そして率先垂範で働きます。脱サラして喫茶店を始め、カレーチェーンを創業したのも自分たちが決めてやったこと。誰に強制されたわけでもありません。だったら、徹底的に死に物狂いでやるのが当たり前です。1000店舗を達成したときには、半年間、制服を着てカウンターの中に立ちました。

でも、世の中には現場にも出ないで、会社の接待費や交際費を使って楽をしている経営者がいるようですね。つまり公明正大ではないということです。これは、管理職でも同じです。そんな状態が続けばどうなりますか。

脛に傷を持つ上司は、ストレートに部下を叱れません。正論を返されたら痛いからです。うちも管理職は30~40人いますが、それはあくまでも社長(浜島俊哉氏)が決めた組織です。私が認めているのは、そのうち10人未満で、あとは認めない(笑)。

いつも「へえ、駒が足りんなあ。人を育てられんのか?」と憎まれ口をきいていますよ。とくに男の管理職はいけません。男同士だと、見栄の張り合いなのか、言いたいこともよう言わんところがありますよね。私は女性ですから、ズバズバ言います。

一般に女性管理職にはそういうところがあると思います。経費の使い方にしても、男と比べて公明正大です。脛に傷を持たないから強く言える。

世の中の男は全体にだらしないと思います。何かにつけて一緒にお酒を飲んだり、食事に行ったり。団らん気分では仕事はできませんよ。部下を叱るには、まず自分の身辺から見直すことが大切だと思います。

(※本文内肩書きはすべて雑誌掲載当時)

(プレジデント編集部 面澤淳市=構成・文 山口典利=撮影)
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