公明正大だから厳しく言える

「偉かったね。子どもは誰が見とるの?」

そう言ったと思います。浅井さんはお子さんがまだ小さいんですよ。その日は違ったようですけど、急な出張が入ると、お父さんに見てもらうことがあると聞いていました。そういうときは「お父さんにお礼を言っといてな」と付け加えるようにしています。

部下たちが自分の職責をきちっとまっとうしない、いつまでもやらないでいる。そういうときに私は怒り狂い、「月給泥棒」と言うこともあります。

私は勘が鋭いから、相手の人間性を見透かします。最近は自信と傲慢とをはき違えている子が増えたように思います。本当の自信を持っている子はむしろ謙虚です。目の動きとか、話す内容でわかります。大げさに言っている、飾っているなということはすぐにバレますよ。そういう子を叱るのです。

もちろん相手によって強弱をつけますよ。十人十色です。この子にはここまでやったらいかんな、この子にはあとでフォローをしとかんと……。それをどこまで見分けられるかがポイントです。でも、自分で言うのはなんですが、どういうわけか社内では慕われていますよ(笑)。それは愛情を持って接しているからだと思います。

私にとって、従業員は“子ども”なんです。いろんな分野で私の代わりに仕事をしてくれる子どもたちです。大切にしなければいけません。だから全身全霊で叱ります。むしろダメだと思ったら叱らずに、徹底的に無視します。

うちは一般的な加盟店(フランチャイジー)募集はしていません。独立希望者はいったん社員になってもらい、のれん分けの形で加盟店を任せます。そのためには、壱番屋マインドをしっかり身につけてもらいます。髪の先からつま先まで学んだ子、理屈ではなく体で覚えた子が独立できるのです。