中国人民銀行が金を買っている
【大橋】ワシントン協定が結ばれたものの、じつはリーマン・ショックを経験する2008年まで世界の中央銀行は依然としてゴールドの売り手であり続けました。
これがリーマン・ショックで一変します。現在では世界の、特に新興国の中央銀行はゴールドの買い手としてその存在感を増しています。
特に中国の中央銀行である中国人民銀行が2022年から、凄まじい勢いでゴールドを買っています。先に中央銀行が米国債を売って人民元レートの下落を防いでいるという話がありましたが、ゴールドについては買い貯めているのです。
これは中国の金準備の推移です(図表3)。中国は公表していないゴールドの購入があると指摘されており、完全把握は不可能ですが、2023年から中国人民銀行が金準備高を増やしていることが確認できます。
中国はハイペースで購入を続けている
18年にも、中国人民銀行は10カ月連続でゴールドの購入を続けたことがありましたが、このときのゴールド購入の合計は105.7トンで、月平均10.6トンでした。
23年、中国人民銀行の金準備高は11月末までに2226トンまで増加しています。今回は13カ月連続でゴールドを購入しており、この間だけで、278トンもの金が積み増されたのです。月平均21.387トンのハイペースで18年の倍のペースでゴールドを買い続けている計算です。