男女の収入差がある社会で、相手に稼ぎを求めるのは当然

【権丈】男女の収入差があり、男性の魅力の一つとして稼ぎが重要だと判断しますので、そうした点があるのは不思議ではないと思います。

先ほどの繰り返しになりますが、周囲に祝福されて結婚したいと思うのは自然な感情ですから、昭和の残像を色濃く残す親の意見を感じたときは難しいですね。といってもやはり、自分の人生は、自分で考えて決めることを大事にしてほしいと思います。先に、ゴールディンさんやヒラリー・クリントンさんの話をしましたが、彼女たちは、前の世代のようになりたくないという自立心を持って、自分の人生を若いときから準備してきました。『サピエンス全史』では、20万年以上続くホモサピエンスの歴史の中では性差別が一般的であったことが延々と述べられています。私たちが今、目の前で観察している現象は、極めて特異な歴史の屈折点にあるといえますね。

賃金格差
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※写真はイメージです

私たちの時代もそうでしたが、20歳の頃と40歳、60歳の頃とは、何を正しいとするかの規範も異なる別世界を生きることになります。前の世代との意識の距離も生まれ、その時その時の選択が難しい、少々過酷な時代でもあります。

20歳の頃に目の前の状況に最適な選択が、時代の変化の中で時代遅れになり、人生を後悔しなくてもすむように、自分で考えていく。それが今、一番大切なことだと思います。そして私たちは、政策的に、そうした生き方を社会からサポートしていく。それも大切なことですね。

海老原さんのご著書を多くの人が手に取って、自らの人生設計のあり方、そして社会のあり方を考えてもらえればと思います。どうもありがとうございました。

(構成=海老原嗣生、荻野進介)
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