「努力が足りない!」という叱咤激励は、もはや時代錯誤

親世代と子ども世代とでは、時代が大きく変わっており、受験勉強に対する意識も違います。「努力が足りない!」という叱咤激励しったげきれいも、いまの子ども世代にはまったく響きません。根性論には頼らないことです。

名門塾信仰も危険です。というのも、名門塾の多くは努力主義で、受験校の傾向をつかんだ対策を講じているわけでも、一人ひとりの子どもに合った教え方をしてくれるわけでもありません。

なので、どんな名門塾でも、その子に合っていなければ成果は期待できません。もともとできる子の成績を伸ばすことはできても、できない子を引き上げてくれる場所ではないとも言えます。

人間にとって一番まずいことは、あることをすることによって、別の行動が引き起こされて悪循環が起こるということです。ウソをつくと、そういう悪循環が起こりやすいので、必ず叱りましょう。

子どもがウソをついているというようなことは、大人ならだいたいわかるはずです。それを問いつめるにしても何にしても、そのウソは必ず引き剝がすべきです。

「大人は頭がいいんだ」「ウソをついても必ずばれるんだ」ということを思い知らせることが必要だと私は思います。

ウソをついている間というのは、ものすごく不安で、「ばれるんじゃないか、ばれるんじゃないか」と気になって、キョロキョロするようになったりします。

結局、不安な気分になって損をするのは自分なのです。ストレスもたまります。ですから、絶対にウソをついてはいけないということを教えておくべきでしょう。

木製のピノキオのおもちゃ
写真=iStock.com/luckyraccoon
※写真はイメージです

正直に打ち明けてくれたらなんであれ許す

それからもう1つ大切なことは、正直にうち明けたときには褒めるということです。子どもにどんなに不愉快なことをされたとしても、正直にうち明けてくれたということはよいことなのですから、賞を与えるべきなのです。

そこで罰を与えて接していると、本当のことを隠すようになりますし、もっとウソをつくようになります。

「花瓶を割っちゃった」でも何でも、ウソをつかずに正直に言ってきたら、犯罪的なことでないかぎり、叱ることはやめましょう。

子どもの間というのは、本来ウソをつかなければならないようなことは少ないはずですから、ウソをつかせてしまって、そのままにしておくというのはやはりよくありません。

思春期ぐらいになりますと、親に対する隠し事も増えてきますから、ウソをつくのは仕方のない面もありますが、思春期の子どものウソと、小さい子どものウソでは根本的に別問題だと考えたほうがよいでしょう。