子供をやる気にさせる親の声かけは何か。医師の和田秀樹さんは「親が子どもを褒めて、『わー、すごい』と子どもの野心を満たす鏡になってあげることによって、子どもは前向きに、よりがんばる人間になる。そして、子どもが不安になったときには、『パパがついているから大丈夫だ』と力強い親を示してあげると、『パパがいるから、僕だって強いんだ』と思えるようになる」という――。

※本稿は、和田秀樹『勉強できる子が家でしていること』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

子供の勉強を見る親
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子どもの野心を生み出す親の声かけ

現代アメリカ精神分析で最も人気のある学派、自己心理学の始祖であるハインツ・コフートは、親によって人間の心には初めに「野心の極」というものができると言っています。

赤ちゃんが初めてよちよち歩きを始めたとき、両親は「わあ、○○ちゃん、すごい、すごい」と言って目をキラキラと輝かせて喜ぶでしょう。そうすると、赤ちゃんはもっと褒められようとして、また別のことにチャレンジするようになります。

こうしたことを繰り返しているうちに、赤ちゃんに原始的な野心のようなものがどんどん生まれてきます。それをコフートは「野心の極」と呼んだのです。

この子どもの「野心の極」を満たしてあげる親の役割を「鏡」といいます。

親が「わー、すごい」と言って、子どもの野心を満たす鏡になってあげることによって、子どもはもっと別の何かをするようになり、どんどん野心の極が成熟して、よりがんばる人間になるというわけです。

ところが、人間というものはいつもいつもがんばれるものではありませんから、ときどき不安になったり、自分はダメだという気持ちになったりします。