スクラップ・アンド・ビルドを行わなければならない

【EJ】これは日本人に限ったことではありませんが、人間が試行錯誤の結果、快適な居心地を獲得したとしましょう。それは新しい習慣となり、人間はそれを手放そうとしなくなります。

【柳井】トップになろうとするなら、その環境を自ら打破していくような人材じゃないとダメです。

【EJ】その通りだと思います。ラグビー日本代表は15年のW杯で南アフリカに勝って世界で評価を得ました。そして19年のW杯日本大会でベスト8に進出し、日本におけるラグビーのステータスを変えたわけです。ところが、現状の日本代表はそこで満足しているように私には見えるのです。昨年のW杯ではプールステージで敗退となってしまいましたが、強豪国と戦い、健闘したことでハッピーになっている。これでは10年前の停滞していた時代と同じです。いまこそ、柳井さんがおっしゃるようにスクラップ・アンド・ビルドを行わなければならないと痛感しました。

一日の出来事を書き留める

――より良い組織をつくるためには、より良い人材を育てる必要があると思います。人材育成のために考えていることを教えていただけますか。

【EJ】日本のみなさんに伝えたいのは、まずは「自分のプランをしっかり立てよう」ということです。短期だけでなく、中長期で自分の人生を捉え、必要なことを洗い出す。そして、プランの実現のために必要なことを実行し続けましょう。

【柳井】毎日ね。

【EJ】そうです、毎日成長するのです。実行し続けていけば、チャンスがあなたに微笑むことがきっとありますから。

【柳井】私が伝えたいのは、プランを立てるにしても他人の目を気にして表面的な目標を立てても意味がないということです。自分がやりたいことなのに、体裁を繕う必要はない。仕事を進めていくなかで、自分の「宿命」「運命」となるようなものを見つけてほしい。

【EJ】宿命、運命を見つけられれば、毎日やるべきことも自然と見つかるでしょうね。