「万年野党で喜んでいるのは国民への裏切り」

――小沢さんは、日本は議会制民主主義なんだから、野党が選挙で政権交代を目指して戦うのが当たり前だと言い続けています。今の立憲民主党はどうでしょうか。

政治家が戦わないんだ。戦うだけの力と知性がない。だから官僚と渡り合えない。政策の細かいところまでやれ、覚えろと言うわけじゃない。政治家が基本の考え方をもって官僚と議論できるようにならないとダメだと言っている。細かいことは官僚に任せればいい。しかし、まずは官僚と議論して戦わなきゃいけないのに、今の政治家にはそれがない。

現執行部は「対決よりも解決」を掲げて、政策の枝葉末節の部分で与党や官僚と議論をしている。しかし、基本的な理念、哲学については議論ができないんです。要するに、誰に対しても、いい子ちゃんでいたいんですよ。誰とでも仲良くしていたい。

しかし、それは「万年野党で喜んでいる」ということだ。政権を目指さず、万年野党のままでいいという政治家がいるなら「今すぐ議員バッジ外せ」と言いたい。政権を取る意欲がないということは、国民に対する裏切りだ。

小沢一郎氏
撮影=遠藤素子
政権を取る意欲のない議員は「今すぐ議員バッジ外せ」と語った。

民主党政権は「国民との約束」を守れなかった

――政権交代を目指さない議員は、必要ないと。

国民は、こうしてほしい、ああしてほしい、という自分の願いを1票に託し、投票している。国民から託された思いは、政権を獲得し、政府を組織して政策として実行できる。だから政権獲得の意欲がない政治家は、最初から国民を裏切っているということです。

――なぜ民主党政権は3年で終わってしまったのでしょうか。

民主党政権が失敗に終わった最大の原因は、国民と約束した公約を守れなかったことです。

小沢が真っ先に挙げたのは、民主党が2009年の選挙公約(マニフェスト)で「4年間は上げない」と明記したはずの消費増税だった。

鳩山政権は一転して議論を本格化させると宣言、後継の菅政権では参院選挙で「消費税率10%への引き上げ」を掲げて大敗。次の野田佳彦政権では自民・公明との三党合意を成立させ、消費増税への道筋をつけた。

小沢は2012年6月、消費増税が盛り込まれた社会保障と税の一体改革関連法案に反対し、民主党を離党。49人で新党を旗揚げした。

僕は、(筆者註:消費税率の引き上げをめぐって民主党政権が分裂した2012年)野田君(当時の野田佳彦首相)にも、最後に「公約違反をしてでも消費増税をやるというのなら、成立したら辞めなさい」と言った。

「総理がそこまで政治生命をかけてやるというのなら、(反対の)我々も、国民もこれは仕方がない、言う事を聞こうとなるから」と。しかし、結局、野田君にはそれができなかった。

約束したことが守れなくても、どれだけ努力をしたのかを国民は見ています。政治家として、そういう姿勢を見せられるかどうかが大事なんです。