家計簿を見ると、「浪費」と思われる項目はまず生命保険。子どもがいるとはいえ、いまのところ夫婦とも正社員で妻も働き続ける見込みなのだから、最低限でいい。保障内容をいま一度しっかり確認して、ダブリがあるような場合はリストラしよう。余計な特約もはずしてしまう。

たかが月数百円の特約とあなどるなかれ。先日、ある富裕層の方から相談を受けた。「この500円の保険の特約部分、必要ないと思うんですが、何とかなりませんか?」と言うのだ。「これは契約上、外れないと思いますよ」と答えると、「500円をあと30年払うと、18万円にもなるんですよ」と憤っている。要するに、お金を持っている人ほど、お金にシビアなのだ。保険に限らず、固定費は月単位ではなく、ロングスパンで支出をとらえるクセをつけることだ。

そのほかにも、Cさんの家計簿を見ると、どの費目もフラットに平均より高めになっている。Cさんが「大きな浪費がないのになんとなく貯められない」という一番の理由は、ここにある。

共働きで仕事が忙しいため、食費が高くなるのはある程度仕方がないと思うが、内訳を見直して、「浪費」と思われる外食などは削っていこう。

教育費も「投資」ではなく「浪費」になっている部分はないか。受験塾以外の習い事は「浪費」と考え、この際見直してもいいと思う。

こうして「消費」と「浪費」を減らし、「投資」に回せば、月々のボーナスからの補てんをなくし、さらに5万円程度の余裕が生まれるはずだ。

Cさんは自分たちの老後資金についても頭を悩ませている。総務省の資料によると、老後、夫婦2人暮らしの1カ月あたりの平均的な消費支出は約28万円。

「はたしてあなたの家計簿はメタボかスリムか?」(http://president.jp/articles/-/8156)で述べたように、私が推奨する収入に占める「消費」「浪費」「投資」の割合は70%・5%・25%だが、老後資金はこの投資の25%の中から貯める。教育費と並行して、自分たちの老後資金も少しずつ蓄えるのが理想の家計なのだ。

■「子どもは最高の投資」症候群

【症状】学習塾にスイミングに英会話……。「小さい頃から始めれば、きっとモノになるはず」と、時には子ども本人の意思に反していても、あれもこれもと習い事をさせてしまう病。
【処方箋】まずは子どもの意思を確認しよう。本人が楽しんでいなければモノになる可能性はきわめて低いはず。英会話などは高校生くらいで思い切って留学させたほうが効果は高いのでは。何か一つ、本人の得意そうな分野に絞ってみてもよいだろう。

■「分断家計」症候群

【症状】共稼ぎ家庭に起こりがちな慢性病。お互いにいくら稼ぎ、何にいくら使っているのかを把握していない。気がついたら2人で全体的に浪費しているという合併症を引き起こしてしまうところが特徴。
【処方箋】まずはお互いに家計全体を把握することから治療開始。赤字部分の見直しと、夫婦だけでなく、子どもとのコミュニケーションも必須。どんな進路を考えているのか、教育費の方向性をみすえて目的を明確にし、貯金していくべき。

家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー 横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5200人以上の家計を再生した実績を持つ。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がシリーズ37万部のベストセラーに。
(構成=八村晃代 撮影=アーウィン)
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