基礎年金に固有の財源を
他の先進国では、国民全員に確実に給付すべき基礎年金は、本来は税で賄うのが当然だ。そうでない日本では、零細な企業や低所得の雇用者にも無理に厚生年金保険を適用しなければならず、保険適用漏れで無年金者が生じる可能性が大きい。
また、国民年金の保険料納付率が「8割」と比較的高い数字でなのは、保険料免除者を乱発しているためで、きちんと納付している者は5割以下に過ぎない。結局、その穴埋めは厚生年金などの被保険者に知らない内に、実質的につけ回しされている。
現行の基礎年金(国民年金)給付額の半分は税で負担されている。残りの半分も年金目的消費税で賄えば、長期的な年金財源は堅実なものとなる。仮に厚生年金の適用漏れがあっても、基礎年金だけは、すべての国民に確実に保障される。既存の国民年金保険料負担がなくなるため、その未納付者や免除者の第3号問題も一挙に解決できる。この年金目的消費税の賦課は、従来、保険料を負担していた被保険者にとっては、基礎年金保険料の引き下げと相殺されるため、「負担増」にならない。
実は、これに近い構想は、福田康夫内閣時に、厚労省ではなく、官邸に設置された社会保障国民会議で提言されており、決して非現実的な内容ではない。あと一歩で実現可能であったが、組織防衛を図る厚労省官僚によって阻止されてしまった。歴代総理の内には、目先の人気に囚われず、年金制度改革に真剣に取り組んだ人物もいたことの一例である。