あきらめずに最後までやる社長は強い

――先ほど、ISTのオリエンテーションを聞いて、ロケットビジネスには2種類あるとわかりました。ひとつはロケットを打ち上げて軌道に届ける輸送ビジネス。もうひとつは人工衛星を作る衛星製造ビジネス。そして、ISTはふたつともやっている垂直統合の会社だと。ロケットの打ち上げと衛星の製造の両方をやっているのだから、お金はいくらあっても足りないですね。

もちろんです。お金も足りないし、人もまだまだ必要です。スタートアップには両方とも重要です。

僕自身、みんなに言っているのは、「人は採れるときに採れ」。そこが絶対だと思ってる。僕はスタートアップの経営を何度も経験しています。結論として、成長するスタートアップは人材と社長です。そして、社長はあきらめちゃいけない。あきらめずに最後までやる社長が強い。

例えば、オイシックス・ラ・大地の社長、高島(宏平)さんとか、よくやりきったねと思う。オイシックスはライバルの「大地を守る会」を買収しました。そして、その大地を守る会出身の会長が東電の処理水放出について、「放射能汚染水を流し始めた」とXで発言したら、高島さんが会長を停職処分にした。結果、会長が自ら辞任しました。

手厳しいやり方に見えますが、そうしたことも含めてあの手この手でやりきる力がないとスタートアップなんて成功しないんですよ。

堀江貴文さん
撮影=プレジデントオンライン編集部

ふるさと納税がなければつぶれていたかもしれない

――確かに。堀江さん、見ているとあきらめないですね。ずーっと仕事をしていて、ロケット開発費のために走り回ってます。中小企業の社長の典型で、いつも汗を流して走っている。

ええ、そうですよ。昨年のことですが、某IT企業の経営者とサウナに入って、サウナ室で口説きました。「そろそろ宇宙に出資したほうがいいんじゃないですか」って。

その方には断られてしまいましたが、他の経営者につないでもらって、僕がオンラインミーティングで投資を依頼しました。

その方は「わかった。出資はできないけれど、ふるさと納税で出します」。企業版ふるさと納税で10億円を出してもらいました。それがなかったら、うちはつぶれていたかもしれない。