「日本の企業はものづくりのレベルがめちゃくちゃ高い」

それが、やってみたらできた、と。ロケットの製造って、ターボポンプに類するような難しい技術をいくつも乗り越えていかなければならない。それはもう大変です。ですが、僕らだけでやっているわけじゃありません。パートナー企業の技術精度が高いからやっていられる。いや、日本の企業はやっぱりものづくりのレベルがめちゃくちゃ高いです。

――投資家はベンチャー企業を見る時、「やっぱり経営者だ。人だ」と言います。サイバーエージェント社長の藤田晋さんは「ロケット開発の話は難しくてよくわからないけれど、あのホリエモンがやるからきっと成功する」と言っていました。

ありがとうございます。確かに投資家は経営者、見ますよね。

――投資家が見ているのはロケット技術もさることながら、堀江さんでは。投資家は堀江さんが走り回って開発費用を集めているところを見ています。それにしても、昨年、文科省が研究開発費用を補助してくれることになりましたね。よく出したというか。

開発中のロケットエンジン
撮影=プレジデントオンライン編集部
開発中のロケットエンジン。小型観測ロケット「MOMO」よりも格段に大きい「ZERO」の打ち上げを目指している

僕の仕事は「とにかく優秀な人材を集める」

はい、1社あたり最大140億円です。ただし、当初は20億円です。これからひとつひとつのフェーズを乗り越えていかなくてはならない。

※1:2023年9月29日、ISTはスタートアップ等による研究開発を促進する文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」に採択された。同事業はSBIR(Small Business Innovation Research)制度において、スタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を目指すもの。宇宙(宇宙輸送/スペースデブリ)、核融合、防災分野の研究開発型スタートアップ等が対象になっている。宇宙輸送分野の基金総額は350億円で、フェーズ3までの合計で1社あたり最大140億円が交付される。

これは大変なことです。でも、補助を受けるまでに5年くらいかかりました。議員や官僚の方々にお目にかかって話をしていったのです。なかでも応援してくれたのが今枝(宗一郎)さんという衆院議員や文科省の方々でした。

でも、僕だけでやったわけじゃないんですよ。うちの社長の稲川(貴大)もこういう仕事に向いているんです。稲川は元々政治家の息子です。さいたま市議会議員の息子で、交渉も上手だし、思い切りがいい。

東京工業大学の大学院から大手光学機器メーカーへ内定していたのを蹴ってうちに入ってくれた。新入社員第一号みたいな人です。うちは僕だけが頑張っているわけじゃない。僕の仕事は走り回ることだけじゃなくて、とにかく優秀な人材を集めること。