「あんたを捨てた父親なのに!」

夫と息子は、連絡を取り合っているようです。息子は「パパに会いたい」と言いますが、A子さんは最初は反対していました。しかし、「どうしても会いたい」と泣くので、「月に一度くらいなら」と許可しました。

とはいえ、夫が女性と一緒にいるのではと不安になるので、帰ってきた息子に、「パパはどこに住んでいるのか」「女の人にも会ったんじゃないか」としつこく聞きました。

息子がうっかり「パパと会って楽しかった」などと言おうものなら、A子さんが「楽しかったわけないでしょ! あんたを捨てた父親なのに!」と怒るので、息子はそのうち夫の話をしなくなりました。

そのまま夫婦の別居は続き、息子は中学生になりました。

息子に夫の不倫写真を見せ続ける妻

ある日A子さんが、いつものように夫の悪口を言っていると、息子が「もうパパの悪口を言うな!」と怒り出しました。

A子さんは息子の言葉に驚くと同時に怒りを覚えて、持っていた不倫の証拠を息子に見せました。夫が不倫相手とキスをしている写真、ホテルに行った後のやりとりのLINE……。父親がいかにひどい人間かを言って聞かせると、息子は「そんなのもう捨てなよ」と言って、部屋に戻ってしまいました。腹立ちが収まらないA子さんは、LINEでも息子に繰り返し夫の悪口を書き連ねました。

それ以来、息子が言うことを聞かなかったり、テストで悪い点を取ったりすると、A子さんは夫の不倫の写真を見せるようになりました。

「言うことを聞かないとパパみたいな人間になるわよ」と叱り、息子に「ママがそんなだから浮気されたんだ」と言い返されると、A子さんはますます怒るようになりました。

そんな生活が続き、息子はだんだんと元気がなくなっていきました。

ある日の朝、息子が「起きられない、学校に行きたくない」と言うので、「やっぱりあなたは不倫した男の息子なのね、最低だわ」と叫びながら、部屋にあった物を投げつけようとすると、息子はしぶしぶ学校の支度をして出かけました。

しかしその日はいつもの帰宅時間になっても帰ってきませんでした。

息子は夫のところへ…そして離婚調停

夜になっても帰ってこないので、息子にLINEや電話をしていましたが、既読になりません。

すると夫から、「息子はうちに来ている。かなりつらいようだから、しばらくうちにいさせる」と連絡がありました。

A子さんは、息子を返さない夫にいらだち、「2人で一緒になって私を捨てる気か」「あの女と再婚する気か」などと矢継ぎ早に返事をしましたが、夫から返答はありませんでした。

息子が戻ってこないまま数カ月が経ち、夫から離婚調停が申し立てられました。