起業で失敗しない方法は何か。起業家の遠星誠さんは「ビジネスには、『重いビジネス』と『スモールビジネス』の2つがあり、おすすめはスモールビジネスだ。コストが小さく黒字になりやすく、イグジットで高く売れる。私の最初の会社である民泊管理会社は、当時の利益は年900万ぐらいだったが、年間利益の10倍以上である1億円で売れた。『イグジットを成功させた』という実績が強力な信用力になり、イグジットを繰り返しやすくなり、手元にはキャッシュがどんどん貯まっていき、人生を自由に楽にしてくれる」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、遠星誠『100万円のスモール・ビジネスを3年以内に3000万円で売却する ミニマム・イグジットの教科書』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。
会社は「小さく興して育てて売る」
会社は「小さく興して大きく育てる」のが大原則です。本著では、それに「黒字を出してすぐに売る」というフェーズを加えています。
国税庁の「令和3年度分会社標本調査」によると、日本の法人のうち、なんと61.7%が赤字企業です。黒字の企業よりも、赤字の企業のほうが多いのです。
ならばなおさら、起業したばかりの未熟な企業がいきなり黒字を達成できる確率は低いと想像がつくでしょう。利益が出ないまま倒産するリスクもかなりあります。
そう、企業にとっては、最初の1年を生き抜くことが、最初にして最大の試練なのです。では、会社にとっての「生きる」とはなんでしょうか?
それは「黒字を出し続ける」ということです。どんなに小さい企業でも、黒字を出し続ければ生き延びられる可能性は高くなります。逆に、どんなに大きな企業でも、赤字が続くと死んでしまいます。売上高も資本金の額も関係ありません。
そして黒字にしやすいのは、コストの小さい企業です。私が小さく会社を興すことを勧めるのは、そのためです。
ミニマムな起業を勧める理由はもう一つあります。それは、自然とビジネスモデルもシンプルなものになり、後にそのビジネスモデルを再現しやすい、つまり拡大しやすいからです。
まずは小さく、シンプルなビジネスを立ち上げ、利益が出たらそれをコピーして広げていくのです。