社会保険料はいずれ自分に返ってくる

最後に雇用保険について見ていきます。雇用保険から給付される基本手当(失業給付)や育児休業給付金、高年齢雇用継続基本給付金などは、賃金日額に基づいて算出します。賃金日額とは、離職日(休業開始前)の直近6カ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額のことです。例えば、育児休業給付金は以下の計算式で算出します。

育児休業開始後180日まで:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
育児休業開始後180日以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%

雇用保険の保険料は実際に支払われた給与をもとに計算しますから、給与が高くなれば支払う保険料は高くなります。一方、給付を受ける立場で考えれば、給与が高いほど給付額も増えます。

日々、何事もなく過ごしていると、目先の手取りの増減に目を奪われがちですが、社会保険料は一方的に取られるだけのものではありません。不測の事態などに遭遇したとき、家計が困窮することのないよう、事業主と従業員の双方が保険料を拠出(労災保険料は事業主負担のみ)して備える相互扶助の仕組みです。社会保険加入は、従業員を守るために事業主に課せられた義務であるとも言えるでしょう。

医療の木製ブロック
写真=iStock.com/bymuratdeniz
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