老後の年金も標準報酬月額で算出される
出産手当金とは、被保険者が出産のため会社を休んだときに受け取れるものです。出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間が対象となります。出産日は出産の日以前の期間に含まれ、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても支給されます。支給額は、傷病手当金と同様の計算式を用いて算出します。
次に厚生年金保険の給付について見ていきます。老齢厚生年金の計算にも標準報酬月額が使われますので、残業によって標準報酬月額が高くなれば、老後の年金が増えることになりますが、ここでは、自分の身に万が一のことがあった場合に給付される「遺族厚生年金」と「障害厚生年金」に着目します。
遺族厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者が死亡したときなど、一定の要件を満たした場合、配偶者など、所定の遺族に対して支払われるものです。支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、以下の計算式を用いて算出します。
給与が高いほど保障が手厚くなる仕組み
障害厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やケガの初診日があり、障害等級1級から3級のいずれかに該当しているなどの要件に該当したときに支払われるものです。1級から3級までの支給額は以下の通りです。
2級の障害厚生年金額=(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(23万4800円)〕
3級の障害厚生年金額=(報酬比例の年金額)
※配偶者の加給年金額は2024年度の金額
報酬比例の年金額とは、遺族厚生年金額の計算式における{(A)+(B)}の部分です。{ }内の平均標準報酬月額とは、被保険者であった期間中の標準報酬月額の平均値のこと、平均標準報酬額とは、同期間中の標準報酬月額と標準賞与額の合計額の平均値のことです。標準報酬月額が増えれば支給年額も増えるので、その分保障も手厚くなります。遺族厚生年金においても障害厚生年金においても、加入月数が300月未満の場合は300月加入しているものとみなして計算します。