子どもや若者に冷淡で、高齢者ばかり優遇する日本
最近、日本で話題となった言葉のひとつに、放送作家・鈴木おさむ氏の引退に伴って用いられた「ソフト老害」がある。メディアもこの言葉に関連した特集を次々と繰り出しているが、大抵の場合、若者による嘆きが紹介される。言い分の傾向としては「上の人間がやり方を押し付ける」「こちらが提案しても『オレのやり方のほうが経験に基づいているから、正しい』と採用されない」あたりが多い。
選挙でも、高齢者が票田として圧倒的なため、候補者は高齢者優遇の公約を並べ、政治家になってからも医療費の2割負担に反対したりする。一方、票を持たぬ子どもや投票率の低い若者に対してはあまりにも冷淡だ。コロナの折も政治家は「おじいちゃん・おばあちゃんの命を守るために全国一斉休校」などとやらかした。「子どもや若者は重症化しないでしょ」「若い世代の学びや経験の機会を奪っていいの?」といった声には耳を傾けず、「高齢者の命ガー!」で押し切った。
「子どもの声がうるさい」と公園は閉鎖され、保育園建設反対運動も発生する。そりゃあ2016年、新語・流行語大賞のトップ10に「保育園落ちた日本死ね」が入るわけだ。こうしたマインドが国全体を覆い尽くし、多数派である中高年が幅を利かせる社会になっている。そんな国が今後、発展するのは難しいだろう。
日本は「衰退国家」であることを認めるしかない
現在のタイは相変わらず渋滞だらけで、大気汚染もすさまじい。ぼったくりも時々見かけるし、人々は平気で信号無視をする。しかし、バンコクの一部エリアには東京にも匹敵するような高い格を誇るホテルや飲食店も多数存在する。それに加えて、日本よりも若くて柔軟な人々、貪欲に生活を向上させようとする人々が多い。彼らが今後の経済成長を牽引することだろう。
JETROの発表によると、2014年、訪日したタイ人観光客は65万7570人だった。以降、2015年79万731人、2016年90万1525人、2017年98万7211人、2018年113万2160人、2019年131万8977人と右肩上がりで推移した。コロナ騒動下の2020年~2022年はさすがに激減したものの、2023年以降は力強く回復している。
対する日本を見てみると、2019年、タイを訪れた日本人はおよそ180万人でタイ人の訪日客を上回っている。だが、コロナ明けの2023年には逆転された。「日本語総合情報サイト@タイランド」をうたう「newsclip.be」の2023年7月26日の記事に以下の記述がある。
これがすべてを物語っているのではなかろうか……。日本人はもう、日本が衰退国家であることを認めて、それなりの処世術を身に付けるべきであろう。一握りの日本人富裕層、そして外国人様にかしずくようにして働き、それにもあぶれた者は海外へ出稼ぎに行く。そうした未来が予見されることを、子どもたちに伝えなければならない日は、それほど遠くないのかもしれない。
【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・2年連続でタイに長期滞在し、タイの経済成長を実感する一方、日本の凋落を改めて意識した。
・日本社会は硬直性が著しく、「若者を軽視し、老人ばかり優遇する」傾向に拍車がかかっている。そんな社会に明るい未来など期待できない。