今年2月、ユニクロの衣類など66件(総額約1970万円)の万引きを繰り返したとして、ベトナム人の男女4人が逮捕された。万引きGメンとしても活動する万引き対策専門家の伊東ゆうさんは「日本製の衣類や医薬品、健康食品などは質が高く人気があり、どの国でも容易に換金できるため、転売目的の窃盗犯に狙われやすい」という――。
ニューヨークのユニクロ
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「窃盗目的」での来日を繰り返していた

2024年2月、ユニクロなど大型量販店を中心に大量万引きを繰り返していたベトナム人男女4人が、福岡市中央区の商業施設にあるユニクロの店舗で衣料品87点、およそ35万円分の商品を盗んだ容疑で福岡県警に逮捕された。

警察発表によれば、逮捕された4人は、ベトナム本国在住である40代後半の女から「万引きして稼いでおいで」と指示を受けて、初めから窃盗目的で来日。2018年から2023年までの間、福岡市のみならず関東や関西の商店でも犯行を繰り返して、これまでに少なくとも66回の犯行が確認されている。

その被害は、計5237点、合計で1970万円。異なる店舗で、断続的に犯行が繰り返されたことが、万引きの範疇とは思えぬ大きな被害を生んだ最大の要因といえるだろう。

見通しのいい出入り口は防犯効果があるはずが…

「小さな店に寄りつくことなく、各地の大型店舗を中心に狙え」
「スーツケースを店内に持ち込むことなく、商品を持ち出して店外で詰めろ」

指示役とされる現地在住の女は、ベトナム国内で人気のあるダウンジャケットやカーディガン、セーターなどを中心に、色やサイズを指定したうえで盗ませていた。その他、狙う店や用いる手口まで指示していたとされ、この事件の主犯格として逮捕状が発布されている。

実行犯が犯行に用いたのは「カゴヌケ」もしくは「持ち出し」と呼ばれる手口で、アパレルショップ特有の開放的な出口を悪用する大胆なものだ。出入り口の見通しが良いと、一見して防犯力が高く思われがちだが、見通しが良いのは窃盗犯も同じこと。そこに人目がなければ、瞬時に隙をつかれて、いとも簡単に商品を持ち出されてしまうのである。

逮捕された4人は「生活費が足りず苦しかったからやった」などと容疑を認めているそうだが、逮捕者のなかには指示役の女から借金返済を求められてやったと供述する者もいて、その背景には想像以上の闇深さが垣間見える。