グローバル化で留学生が引く手あまた

しかし日本企業はいま、まったく逆の方向をたどる。楽天、ファーストリテイリングが社内公用語の英語化を発表し、武田薬品工業は新卒採用にTOEICで730点の基準を設けた。さらに野村ホールディングスは11年春からインベストバンキング業務などを担当する「グローバル採用」で約40人を採用。

「英語がしゃべれるかどうか、どちらが得かといったらしゃべれるほうが得であるのは決まっている。みんな日本で中高大と英語で教育を受けている。なのにどこで差が生まれるのか。負荷をかけられるかどうかです」

高額所得者に特化した求人情報サイトを運営するビズリーチの南壮一郎社長はこう語る。

グローバル採用の基準はTOEICで800点以上、流暢な英語力が求められ、初任給は平均54.2万円。一般社員が月20万円であるのに対してこれはかなりの高額だ。英語ができるということは新卒学生にとっては人生を変える大きな武器となっているということだ。

こうした中で企業は、海外に留学している学生や英語能力の高い学生の採用にも力を入れるようになってきている。南社長は「英語ができるだけで企業での扱いは全然違う。留学して後悔している人はいない」と語る。

日本人の海外留学生は米国全体で2万4000人。卒業後は1年間オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)という形で就職した後、ビザ申請をして抽選で取得者が決まる。

景気のいいときには労働ビザ(H1B)の許可申請が募集枠の倍くらい入ってくる。ビザが取れなければ最終的には帰国しなければならない。だからなかなか日本人は米国で働けない。

しかし日本では4月、5月に内定が出てしまうために留学生にとっては日本での就職も非常に難しい環境があった。

「日本人の海外留学生には距離のハンディがある」(綿井氏)