日本企業で管理職の「罰ゲーム化」が進んでいる。パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児さんは「職場の状況について、人事や経営は意外と把握できていない。このため現場の管理職が人手不足や業務量の増加を訴えても、人事はマネジメント・スキルの不足と捉えてしまい、問題解決が遠のいてしまう」という――。(第2回)
※本稿は、小林祐児『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
部下には“3つのパターン”がある
私たちの調査をより詳しく分析していくと、さらなる管理職負荷要因が見つかりました。それは、負荷が上がった管理職が「自らの首を絞めはじめる」ということです。
我々は、部下の行動に着目し、管理職自身の行動が、どのような部下の行動を引き出しているかを分析しました。そして部下の行動を測るために、先行研究を参考にしつつ「配慮的」「批判的」「積極的」という3つの行動のパターンを用いて測定しました(※1)。
「配慮的行動」とは、いわば「ビクビク系の部下」の行動で、やたらと会議への同席を求めたり、メールにCCを入れてくるといった行動です。「批判的行動」とは、「言うこと聞かない系の部下」の行動です。上司に反対意見をぶつけ、指示に従おうとしない行動を指します。「積極的行動」とは、いわば「先回り系の部下」の行動です。彼らは「一を聞いて十を知る」のように、前もって主体的に積極的な仕事をしてくれます。
「ビクビク系」「言うこと聞かない系」「先回り系」。これら3パターンの行動が部下に表れたとき、管理職の負担感に、それぞれどのような影響を与えているのかを確認しました。
(※1)西之坊穂、2021、『日本の組織におけるフォロワーシップ フォロワーはリーダーと組織にどう影響を与えるのか』(晃洋書房)