北朝鮮が「トランプ大統領再任」を歓迎する理由
国内的には、移民排斥に銃規制の撤廃……。こうしてみると、恐怖政治の再来と言っていい。トランプ氏自身、「大統領に就任した初日だけ独裁者になる」と語っている。その日に、どんな大統領令を出すかで国際社会は大きく変わってしまうだろう。
そんなトランプ氏の再登板をもっとも望んでいるのは北朝鮮だ。金正恩総書記からすれば、「相手にしてほしければ核を放棄しろ」と迫るバイデン大統領とは違い、直接会談もしたトランプ氏なら、核を保有したまま取引ができる。
北朝鮮は、今後もロシアと蜜月関係を築き、技術供与を受け、トランプ氏再登板の前にさまざまな兵器の開発を進めるに違いない。
トランプ氏の友人になれる日本の政治家はだれか
日本にとって痛いのは、安倍晋三元首相がこの世にいないことだ。自民党の麻生太郎副総裁が1月9日から13日まで訪米し、ロックフェラー家を仲介して、トランプ氏との面会を試みたが、実現しなかった。
安倍元首相は、2016年11月17日、つまりトランプ氏が大統領選挙で勝利した直後、ニューヨークへ飛び、トランプタワーで面会に成功した。その後、安倍元首相は、政治面ではアウトサイダーだったトランプ氏に、国連やサミットなどでの振る舞い方を伝授し、信頼関係を築いた。
今、日本の外務省は、安倍元首相が良好な関係を構築してきた経緯などを調べながら、「もしトラ」(もしもトランプ氏が再登板したら)が、「またトラ」あるいはもっと確度が上がり「ほぼトラ」「確トラ」になるケースに備え対策を急いでいる。
岸田文雄首相にとっては、4月に国賓待遇で訪米する機会に、バイデン大統領との会談や現地での演説などの日程を縫って、トランプ氏側と何らかの接触はしておきたいところだ。
もちろん、返り咲いたトランプ氏と向き合うのは岸田首相とは限らない。そのときの首相がだれであれ、日本政府として、今からトランプ氏を「友人」と呼べる位置づけにしておくことが、「またトラ」になったときの衝撃を緩和する唯一無二の策だ。