※本稿は、川村和義『コミュニケーションを変えればチームが変わる』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
「マネジメントの正解って、なんなんですか?」
山口さん(29歳)マネジャー歴半年
中堅広告代理店のセールスマネジャーとして、6名のメンバーを持つ。
営業マン時代の成績は優秀で、同期の中ではいち早くマネジャーへと昇格したが、メンバーとの意思疎通がうまく図れない。その状況からなんとか脱却しようと、マネジメント関連のビジネス書を手当たり次第に読んでいるが、どのノウハウが正しいのか判断できず、迷子になっている。
セミナーに参加したのをきっかけに、そのメインスピーカーだった川村に、個人コンサルティングを申し込んできた。事前に送られてきたメールには、「どのビジネス書の通りにやってもダメだった」と100冊近くの読書リストが添えられ、ある問いで締めくくられていた。
「いったい、マネジメントの正解って、なんなんですか?」
「○○くん、ちょっといい?」でメンバーを呼んでいないか
【川村和義(※本稿の著者。以下、川村と表記)】ところで、山口さんのほうから、メンバーに声をかけることって、よくあるんですか?
【山口】もちろんですよ。部下から報連相がないんですから、僕のほうからどんどん行かないと。
【川村】ほう、いいじゃないですか。どんなふうにですか?
【山口】えっ? どんなふうにと言いますと? 普通に「○○くん、ちょっといい?」って、私のデスクに呼ぶだけですけど。
【川村】普通に? それが山口さんの普通なんですね。
【山口】だって、他にどんなやり方があるんですか?
【川村】山口さんはドカッとデスクの前に座ったままで、メンバーは横に立っているわけですか?
【山口】いえいえ、この丸椅子に座ってもらいますよ。
【川村】そうなんですね……。自分から行くって話でしたけど、呼びつけるってことですね。
【山口】……。
【川村】一つお聞きしたいんですけど、そもそも山口さんは、どうしてメンバーに「ちょっといい?」って、声をかけるんですか?
【山口】えっ、どうしてって、それはもちろん用があるからですけど。
【川村】用? たとえば、どんな用ですか?
【山口】それは、もちろん勤怠のこともありますし、最近活動量が減ってるなとか、数字も上がってないしな、とか……。
【川村】お小言を言うために、呼びつけるわけですね。