ファンクショナル・アプローチ研究所
代表取締役社長 横田尚哉氏

つながりを残したいと判断したら、次は「相手を確認する必要があるか」を考えます。たとえば連絡をもらったとき、「顔は思い出せたが、名前や肩書は何だったかな」と確認する必要がある相手ならイエス、「誰でもいいや」ならノーです。ノーの場合は、万が一に備えて閲覧できる状態にしておけばいい。ひとまずスキャナでデータ化すれば十分です。一方、イエスなら名刺を検索できる状態にしておく必要があります。この場合は同じデータ化でも、OCRにかけて文字データとして残す作業が発生するでしょう。

また、相手を確認する名刺の中でも「連絡を可能にする必要はあるか」でイエスとなる名刺は、リスト化が求められます。いざ連絡が生じてから名刺を探すと作業効率が落ちるので、面倒でもあらかじめピックアップしてリスト化しておいたほうが、結局は時間短縮につながります。

本来なら名刺管理でも、これらのファンクションに応じて管理のレベルを変えるべきです。ところがデータを片っ端から入力したり、連絡の必要がない人までリストに入れて、選抜リストの意味をなさなくなっているケースも見受けられます。こうしたムダが発生するのは、管理のカタチにとらわれてファンクションを見ていないから。名刺管理を時間ドロボーにしているのは、ほかならぬ自分なのです。

ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役社長
横田尚哉
(よこた・ひさや)
改善士。世界最大企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)の価値工学に基づく分析手法を取り入れて、総額1兆円の公共事業改善に乗り出し、10年間でコスト縮減総額2000億円を実現させた。「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的となっている。全国から取材や講演依頼が殺到し、コンサルティングサービスは約6カ月待ち。また、「形にとらわれるな、本質をとらえろ」というメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、業務改善にも功を奏することから「チームデザイン」の手法としても注目が高まっている。
(村上 敬=構成 葛西亜理沙=撮影 ファンクショナル・アプローチ研究所=図版提供)
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