一人称のマーケティングは強い

さまざまにマーケティングが駆使される時代です。大きな組織なら、そういうことをどんどんやっていけばいいのかもしれません。しかし、小さく始めるときに、そんなことは予算もないしできません。

浜田寿人『ウルトラ・ニッチ』(ダイヤモンド社)
浜田寿人『ウルトラ・ニッチ』(ダイヤモンド社)

しかも、マーケティングが絶対的に正しいのかといえば、必ずしもそんなことはない。先の映画でいえば、さまざまなリサーチを経て、絶対やらないほうがいい、という結論は出ていたのです。

プロモーションもそれまで当たり前とされていたやり方をすべて変えて、インターネットでのプロモーションと口コミマーケティングをメインにしました。そして映画は、業界人の予想を大きく裏切り、大ヒットしたのです。

僕が改めて思うのは、一人称のマーケティングは強い、ということです。

映画に限らず、自分自身が「これは素晴らしい」と思えるものは、どこかにきっと同じ考えを持ってくれている人がいるはずなのです。それを直感的に大事にすればいいのです。

素人発想を失うと必ず失敗する

振り返ってみると、自分自身が配給した映画も、当たったものは、自分が好きな映画ばかりでした。

逆に、外してしまったのは、「ちょっと売れている俳優が出ているハリウッド映画もやってみたいな」「あの作品があたっているから、この系統はあたるんじゃないか?」などと映画業界人感を出して、素人発想を忘れ、余計なことを考えてしまったときでした。

自分が映画を観て、これは絶対に行ける、と感じたものをやればいい。事業も同じ。一人称のマーケティングでいいと思うのです。素人発想で考えていい。