災害の被害に遭った場合も税金の還付が受けられる
ケース6●災害や盗難に遭った場合
雑損控除は、災害や盗難に遭った場合に使える所得控除です。
次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額を控除できます。
(2)災害関連支出-保険金等-5万円
※「損害金額」は損害を受けた時の直前の資産の時価を基にして計算
※「災害等関連支出」は住宅・家財などを除去するための支出や、盗難・横領により損害を受けた資産の原状回復費用
雑損控除で控除できる損害の原因は、次のいずれかに限られます。
(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3)害虫などの生物による異常な災害
(4)盗難
(5)横領
該当する損害がある場合には、確定申告することで税金を取り戻すことができます。
なお最近、投資詐欺のニュースなどが報じられることもありますが、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
ケース7●マイホームの購入やリフォームをした場合
住宅ローンを利用して自宅を購入している場合は、住宅ローン控除が適用できます。住宅ローン控除は税額控除といって、税額から直接税金を差し引くことができます。
また、自己資金で自宅をバリアフリー・省エネ・耐震性能アップなどリフォームした場合には「リフォーム促進税制(旧投資型)」といって、リフォーム費用の10%の控除を受けられます。対象となる工事には「耐震リフォーム」「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」「三世代同居リフォーム」などがあり、それぞれ控除対象限度額が異なります。
「2024年度税制改正大綱」で、2025年末までの工事・入居が対象になりました。これらのリフォームを活用したときには、ぜひ確定申告をして税金を取り戻しましょう。
ケース8●投資で損をした場合
「損益通算」とは、複数の口座の利益と損失を合算した金額で税金の再計算を行うことです。たとえば、2つの証券会社に特定口座(源泉徴収あり)を保有し、同じ年にそれぞれの口座で資産の売却を行い、一方で20万円の利益、もう一方で30万円の損失があったとします。
この場合、20万円の利益のあった特定口座(源泉徴収あり)では、自動的に約4万円の税金が差し引かれます。2つの口座のトータルでは損をしている状況なのに、税金まで払っていることになります。
こんなときには、確定申告で2つの口座間で損益通算を適用すれば、利益と損失が相殺されて利益が0円になり、支払った税金を取り戻すことができます。
また、損益通算をしても引ききれない損失(前述の例では、10万円)は、翌年以降3年以内に生まれた利益と相殺することができます。これを「繰越控除」といいます。3年間にわたって損失を繰り越したい場合は、毎年確定申告が必要です。
なお、NISAやiDeCoは損益通算や繰越控除の対象外です。
申告し忘れや控除漏れがあっても、5年以内なら還付申告が可能
読者の中には、「確定申告をし忘れていた」「控除が漏れていた」という方もいるかもしれません。しかし、その場合でも「還付申告」という手続きで税金を取り戻すことができます。
還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間できます。
確定申告は、今やスマホやパソコンから手軽にできる時代です。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から、案内にしたがって金額を入力するだけで税額が自動的に計算されます。
マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」から確定申告に必要な「公的年金等の源泉徴収票」などの情報が連携できます。
もちろん、対面で相談しながら確定申告したい場合は、管轄の税務署や確定申告会場でも行えます。確定申告をして納めすぎている税金を確実に取り戻しましょう。