ダブルチェックは不要

海外の企業が日本とのやりとり、とくに確認作業の多さに辟易してしまうと述べたが、デンマーク人にとって、無意味なタスクの代表は「ダブルチェック」である。

基本的に、デンマークではマイクロマネジメント(細かい管理)を一切しない。上司が部下の仕事の進捗しんちょくを細かくチェックすることは、デンマークではする必要がないどころか、「タブー」の領域である。

ミスが発生しないように、念のために複数人が目を通してチェックするというのは、日本ではよくある作業で、決してめずらしいことではない。おかげでミスを防げているというメリットも大いにあると思う。だからこそ、JAPANブランドは信頼されている。

だが、複数の人が同じ作業をするために時間を使えば、一人ひとりの社員と組織全体にとっての時間コストという面では、やはりコストが高くなる。

デンマークでは、部下や同僚の仕事の「ダブルチェック」はしない。そこに時間を使うよりも、一人ひとりの社員が責任を持ってベストを尽くして仕事をした方が、効率がいいと思っているからだ。

もちろん、仕事によってはひとつのミスが致命的になるのでダブルチェックした方が良いだろう。だが、成果よりも時間コストの方が大きい「無駄なダブルチェック」はしていないだろうか。

無駄なダブルチェックをなくすだけで、使える時間は圧倒的に増える。それに、担当者は自分だけだと思えば、より責任感を持って仕事に取り組むようになるし、自分の仕事に誇りが持てるようになる。そうなれば、俄然やる気が湧いて、むしろミスが減る可能性も高い。

文書をチェックするビジネスマン
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メールのccは必要最低限に

みんなで情報共有するためのメールのccも要注意だ。メールに不要なccを入れるのも、相手の「タイパ」の妨害になるからだ。

メールでccを入れると、ccに入っている人たちがメールに目を通すために時間を使うことになる。じつは、これも、複数の人が同じことをする「ダブルチェック」に似ている。無意識かもしれないが、ccを入れることによって、お互いの時間を奪い合うことになっている。

ccを入れる際には「なぜこの人をccに入れるのか?」を考えたい。進捗を把握しておいてもらいたいとしても、本当にやりとりを逐一ccに入っている全員に把握してもらう必要はあるのだろうか。「ccの断捨離」を定期的にしてみるのも良いかもしれない。

ccをすることで各自との細かいやりとりを省けて、お互いのタイパにつながるのであれば意味がある。だが、無駄なccはやめた方が、お互いのタイパになる。