保護者会にはパパも参加して、積極的に発言

デンマークで保護者会に参加すると、ハッとする。

小学校や保育園・幼稚園の保護者会は夕方に開催されることが多いのだが、当たり前のように「パパ」が出席しているのだ。見渡すと、ジェンダー比率的には、五分五分の印象だ。

夫婦揃って出席する家庭もあれば、パパあるいはママが代表で出席している場合もある。

たまに、いかにも対外的な仕事帰りという感じで、ちょっと派手なステキな格好をしているパパやママの姿も見かけるが、大半は完全に普段着である。スポーツウェアやジャージ姿、短パンにビーチサンダル。どう見ても、部屋着でそのまま出てきました、というような格好だ。

しかも、先生の話を、腕組みしながら、肘をつきながら、足を組みながら、それぞれの姿勢で聞いている。

一見やる気がなさそうに見えるのだが、保護者会ではパパもママも積極的に発言する。

手を挙げて(正確には、人差し指を上に挙げて)質問があれば質問し、意見があれば意見を言い、みんなに役に立つ情報があればシェアしてくれる。

日本のPTAとは少々異なるが、デンマークでもクラスの役員を選んで「委員会」を結成する。イベントの企画や保護者・子ども同士の交流を通じて、クラスの円滑な運営を促進する。この委員会に、パパも積極的に参加する。

「委員会のメンバーになってもいいという方は挙手をお願いします」
「はい。僕、なるよ」
「私も」

という感じで、メンバーはサクッと決まっていく。

ちなみに、男性が参加したからといって、ちやほや持ち上げられて「代表」のような役割を当てがわれることもない。パパもママも対等で、女性だからとか、男性だからといった役割の相違もない。

仕事も家事育児も「夫婦の共同プロジェクト」

ある意味、デンマークは厳しい国だ。

「家事育児は女性が担うもの」といった考え方が通用しないのだから。男性は仕事を言い訳に家事育児を放棄できないし、女性は家事育児を言い訳に仕事を放棄できない。

女性も、男性からは稼ぐことを期待されるし、国からは納税者になることを期待される。

だから、「結婚して専業主婦になりたい」「ちょっと社会人を経験してから寿退社したい」という女性や、「一家の大黒柱として稼いでるのだから、家事育児は妻がすべき」「仕事が忙しいから、子どもの世話はできない」という男性には、かなり厳しい社会である。

その意味で、正直、デンマーク社会とは、相性がいい人とそうでない人がいると思う。

きょうだいと一緒に台所でパスタを詰める父親
写真=iStock.com/Nomad
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そのあたりをデンマーク人はどう思っているのだろうと思って色んな人にインタビューして聞いてみたところ、大半のデンマーク人は、夫婦共働きのフルタイムで、家事育児も夫婦で分担した方がいいと思っているようだった。仕事ができることも、子育てに参加できることも、「権利」として捉えているのだ。

2人ともフルタイムで働いて、午後4時以降は夫婦揃ってファミリータイムを持つ。そして、2人分の財布を合わせ、快適な暮らしづくりや、長いバケーションを楽しむ。それがデンマークの一般的な夫婦の形だ。

そのためデンマークでは、仕事漬けの男性は、経済的に自立している女性からあっさりと別れを告げられてしまう。夫婦共働きの「ワークライフバランス先進国」は、そんな危険とも隣り合わせである。