英政府は富士通なしではやっていけない

英BBCによれば、富士通はポスト・オフィスのほか、税務当局、歳入税関庁、労働・年金省といった政府機関のITインフラに深く浸透している。

過去4年間で101件の契約を獲得し、総額は20億ポンド(約3700億円)に上るという。

それには、原因となった「ホライズン」の延長契約の3600万ポンド(66億6000万円)も含まれている。

英ITジャーナリストのトニー・コリンズ氏は、「政府は富士通なしではやっていけない」「富士通を排除するのは不可能に近い」とBBCに語っている。

「富士通の無能さが証明されれば、賠償金は莫大なものになる」

コリンズ氏は、「富士通は、英政府からの要求がなくても、被害者への補償を独自に決定する可能性がある」と予想している。

こうした見解は、英政治家による富士通批判の高まりと連動している。

たとえば、保守党出身で2010年から2016年まで首相を務め、現在は外務大臣デービッド・キャメロン氏の側近である、フランシス・モード氏は、「富士通は少しでも名誉を重んじるのであれば、速やかに元局長たちに相当に大きな金額の補償金を支払うだろう」と語った。

「賠償金は莫大なものになる」
写真=iStock.com/milicad
「賠償金は莫大なものになる」(※写真はイメージです)

また、保守党のアレックス・チョーク法相兼大法官は、英放送局のITVに対し、「英政府は本件に関する独立調査委員会の取り調べが終了するのを待って、富士通に対する処分を決定する」と断った。

その上で、「富士通の無能さが証明されれば、賠償金は莫大なものになる」との見方を示している。