責任はあくまで「英政府」にある

この騒動の中、欠陥のある会計システムを構築・納入した富士通に対しても、補償金の支払いを求める声が高まっている。

だが、本来この動きはおかしい。この騒動の責任はあくまで英政府にある。

英政府は、富士通のシステムがバグだらけであることを知っていたが、これを承認し、導入・運用していただけでなく、欠陥を修正していなかった。

その上、無実の人から口座の不足金額をむしり取っただけでなく、有罪判決を下して投獄したり、自殺に追い込んでいたのだ。

その一義的な当事者は、旧ロイヤルメール時代から、現在のポストオフィスまでの間、政権を担当していた、「保守党」と「労働党」、および「英自由民主党」(2010年から2015年まで保守党と連立政権を組んでいた)にある。

この構図をしっかり押さえておく必要がある。

逃げ切りを図る政治家や官僚が少なくない、とも報じられている
写真=iStock.com/Dragon Claws
逃げ切りを図る政治家や官僚が少なくない、とも報じられている(※写真はイメージです)

政治家や官僚が逃げ切りを図っている

一方、英国では、富士通に最終責任を転嫁して逃げ切りを図る政治家や官僚が少なくない、とも報じられている。

実際、事件のどこまでが政治家の責任で、富士通の責任はどの程度なのか、検証してみたい。

問題のシステム「ホライズン」は、旧ロイヤルメール時代の1995年に、当時の保守党政権下で立ち上げられた。

従来は手作業であった年金支払いや振り込み業務をデジタル化し、年間1億5000万ポンドにも上っていた年金受給詐欺を防止する、という触れ込みだった。