余白とは「良好な人間関係維持に不可欠な緩衝地帯」

②「相手との間」の余白

二つ目は、「相手との関係性の中に、余白を持つ」という意味での余白です。

山﨑清太郎『余白思考』(日経BP)
山﨑清太郎『余白思考』(日経BP)

僕たちは、皆平等に社会的な生き物です。そして、自分についてだけでなく、他人についても先入観や偏見を持っています。お互いに持っている「こうすべき」「これが正しい」を押しつけ合って、歯車のように完全にかみ合わせようとさせて、苦しくなっていないでしょうか。

それぞれ持っている思いはそもそもまったく別なわけですから、歯車が完全にかみ合うことはまずありません。たいていは、どこかを我慢して、相手に合わせてやっと少しだけ歯車が回る、くらいのものだと思います。

人間関係で悩んでいる方の中には、「どうやって相手に合わせたらいいのか」と思っている方もいるでしょう。反対に、「どうにかして相手に自分の思いを正しく伝えねば」と思っている方もいるかもしれません。

その考え方を少し変えてみましょう。そもそも歯車と歯車が直じかに接するほど、相手と至近距離にならなければいい。

たとえば相手に何か言いたいことがあるときにも、相手の心の大事な部分に、直接メッセージを投げつける必要はありません。自分と相手の間に余白をつくり、そこにメッセージを置きにいく。相手はそれを自分で取りにくる。

こうしたイメージで臨んだほうが、お互いが快適ですし、何より本当に伝えたいことが伝わります。コミュニケーションは、強引にわからせようとしても機能しないことが多いのです。

自分の中に余白を持つ。相手との間に余白を持つ。

この「余白思考」を持つことで、様々なことがうまく回り始めます。本書でお伝えしたいのは、まさにその技術です。

まだまだ抽象的な説明で、「余白?」となっている方も多いかもしれません。どうぞこのまま読み進めてください。余白とは何か、余白のつくり方、余白の活用の仕方、そしてそれによってどんなことが可能になるのかを、僕自身の体験も交えてお伝えしていきます。

余白思考によって人生が今よりもっとラクに、ポジティブに、前向きになる。そんな人が1人でも多く増えることを願っています。

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