アーティストはビジネスに新しい視点と概念を示す人

皆さん、こんにちは。山﨑晴太郎やまざきせいたろうと申します。僕はデザイナーであり、アーティストであり、三つの会社を経営する会社経営者でもあります。また最近は、TBS「情報7days ニュースキャスター」やNTV「真相報道 バンキシャ!」などのテレビ番組に、コメンテーターとして出演したりもしています。

日本では「デザイナー」というと、デッサンをしたり、製品の形をきれいに整えたり、ウェブサイトなどの見栄えをよくしたり……という表層的な視覚表現の仕事だと思われがちです。

デジタルペンつきのパソコンで制作作業をするグラフィックデザイナー
写真=iStock.com/Ralf Hahn
※写真はイメージです

また「デザイン」という言葉は、最近では広義に使われるようになり、組織をデザインする、社会をデザインする、人をデザインするというように多様な概念を含む、どうにも掴つかみづらい概念になっています。

「アーティスト」というのも、ビジネスサイドから見ると、美意識が独特・常識外れで話が通じない人、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスを度外視して作品づくりに打ち込む人、こだわりが強すぎて仕事をしにくい人、などと思われているかもしれません。

しかしそうしたいくつかの側面では、デザイナーやアーティストの本質を捉えきれてはいないでしょう。アート思考やデザイン思考の存在が示す通り、人間そのものを思考の軸として、根本に立ち返って物事を捉え直す人、非言語領域を武器に問題解決に向けて舵をとる人、強烈なコンセプトを持って社会にとって新しい視点と概念を提示する人。デザイナーやアーティストとは、こうした役割を果たす人なのだと、僕自身は考えているのです。

いい経営者は「余白」のつくり方がうまい

本書はそうした視点から、

「余白の重要性」
「新しいものを生み出したり、次の成長を促したりする原点としての余白」
「余白のあり方は、物事のつながり方そのもの」
「いい余白が、いい伝わり方・コミュニケーションを生む」
「物事の価値は余白のつくり方で決まる」

という、余白の話をしていきます。

なぜなら、この「余白」こそ、アーティストやデザイナー、経営者としての成熟度を決める一つの尺度であると、僕自身が思っているからです。

いいアーティスト・デザイナー・経営者は、基本的に、余白のつくり方がうまい。

この考え方は、いわゆるアーティスト・デザイナー・経営者の方はもちろんですが、それ以外の方も十分に活用できるものです。たとえばプロジェクトマネージャーとしてチームを率いる仕事を求められている方や、新たな価値を生み出すようなクリエイティビティを求められている方。現状の改善や課題解決を求められている方や、新しいことへの挑戦を求められるビジネスパーソンの方。着実に成果を上げ続けることを求められているフリーランスの方、あるいは家庭の全般を見通して采配さいはいを振るう主夫・主婦の方にとっても、身につけることで大きなメリットを得られるものです。