自民党5派閥の政治団体が資金集めのパーティー収入計約4千万円を政治資金収支報告書に記載していなかった問題は、政治家の「裏金づくり」の温床として疑獄事件になりつつある。
特に12月2日以降、複数の主要メディアが「捜査を行っている東京地検特捜部は、全国から応援検事を集めた」と報道。X(旧Twitter)などSNSでは、真相解明に期待する国民の声が多数を占めている。
「東京地検をはじめ、かつての特捜部には『巨悪を恐れず立ちむかう正義の集団』というイメージがありました。しかし近年は“国策捜査”の弊害が批判されたり、大阪地検特捜部の検事による郵便不正事件の証拠改ざんが発覚などもあり、『特捜部不要論』が出るほど権威が失墜していました。ところが、最近の特捜部は約4年の間に8人の国会議員を立件しています。最強の捜査機関と呼ばれた特捜部が復活したのでは、との声も上がっています」(週刊誌記者)
立件された8人はいずれも現職の国会議員で7人が自民党、1人が公明党と全員が与党議員だった(いずれも立件時点)。そのうち7人が衆院議員、1人が参院議員で、12月7日現在、1人は今も現職の国会議員だ。簡単にこれまでの流れを振り返ってみる。
大臣経験者も続々と立件される
発端は2019年12月。IR・統合型リゾート施設の事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は秋元司被告を収賄容疑で逮捕した。秋元被告は17年にIRを担当する内閣府副大臣に任命されていた。
逮捕時、多くのメディアは「現職の国会議員が逮捕されたのは10年ぶり」と報じた。10年、当時は民主党の衆院議員だった石川知裕氏が政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されて以来だった。
20年6月には公職選挙法違反の疑いで、河井克行氏と河井案里氏を逮捕した。2人は夫婦で、克行氏は法務大臣の経験者だった。また8人の中で唯一の参院議員が案里氏だった。広島県内の地方議員や首長ら94人に投票や票の取りまとめを依頼し、計約2570万円の報酬を渡したという大規模な買収事件で、共に有罪が確定した。