ソフト麺はどこに消えた?
米飯給食が始まるまで、給食の主食は毎日パンでした。パンに使う粉を流用して麺を作れないか、と考えて作られたのがソフト麺です。給食でも麺類が食べられることに、当時の子どもたちは大喜びしました。人気が凄まじく、ソフト麺の需要は伸び続けます。
昭和~平成中期の東日本では給食の定番だったソフト麺ですが、西日本だと提供されていない地域も多いので、ソフト麺を食べた経験のない方もいらっしゃることでしょう。
西日本には麺文化が根付いていたために、ソフト麺に頼る必要はないという風潮が背景にあったと考えられます。さぬきうどんのようなコシの強い麺が親しまれている地域では、ソフトな食感は受け入れられなかったのかもしれません。
平成後期になると、ソフト麺を作る機械や工場に老朽化の問題が出てきます。さらに給食室の設備が整ってきたことから、乾麺を茹でたり冷凍麺を使ったりする方向にシフトする学校が増え、ソフト麺の需要は減っていきました。
老朽化と需要減、この2つの理由が重なり、今ではソフト麺を通常注文できる機会がずいぶんと減りました。特別に注文すれば買えないことはありませんが、東京には工場がなくなってしまったので、値段が割高なため、乾麺や冷凍麺を使うことが一般的です。福岡県では平成11(1999)年にソフト麺の給食提供を終了しています。
ただ、根強いファンは多く、一部のスーパーマーケットではソフト麺が今でも販売されています。懐かしの味を求める客のため、定期的に納品しているといいます。
また、全国どこでも注文が難しくなったわけではなく、いまだに給食の麺がソフト麺という地域も存在しています。たとえば静岡県では48社あった取り扱い業者が今は15社以下になっているものの、ソフト麺が給食で提供されているそうです。