合法化されてしまった電動サイクル
なぜか合法の「特定小型原動機付自転車」
これこそが昨今話題の法改正で新たにできたカテゴリーだ。
現在蔓延している電動キックボードにサドルを付けたもので、別名「電動サイクル」という。よく見るとペダルがない。
見るからに危なっかしいんだけれど、じつはこれが合法となった。だから①の違法フル電動と違って、小さなナンバープレートが付いている。ナンバープレートが付いているのに無免許OK。しかも自転車と同じシチュエーションにおいて歩道通行も可能。
法のくくりは次の通りだ。
◎自転車と同じ走行スペースを通る(自歩道なら歩道も可)。
◎制限速度・車道は時速20キロ、歩道は時速6キロ。
◎ペダルなし、スロットルを操作して走る。
◎パワー600W未満。
◎ナンバープレートあり。免許不要、ヘルメットは努力義務。
「歩道は時速6キロまで」は守られるのか
驚くべきは600Wというレギュレーションのことだ。一般的な電動アシスト自転車がおおむね200W前後であることを考えるといかにハイパワーであることかが分かるだろう。もちろん無免許。
それが歩道も車道も走行可能となっている。
やがて「最高速は20キロまでしか出ないけれど、加速はメッチャやばい」と、そういうマシンが売られることになるだろう。「ゼロヨンならぬ、ゼロニジューが0.5秒」なんて、いかにも若者にウケそうだ。それが歩道を走り始める。お年寄りや幼児やベビーカーや障碍者が歩く歩道を、だ。
いちおう「歩道は時速6キロまで、車道モードは緑ランプ点灯で、歩道モードは緑ランプ点滅させる」ということだそうだが、守られると思うだろうか? 私は「絶対に守られない」と断言する。
第一、時速6キロとは早歩き程度のスピードにすぎない。そんなのはふらついて逆に危険で仕方がないだろう。そもそも自転車の「原則車道」がまるで守られない現状で、なぜ電動キックや電動サイクルだけが守るというのか。
だいたい電動サイクルのキャッチフレーズは「ペダルを踏み込むとふらつくような高齢者でも、スロットルだから安心」だ。そんなお年寄りが車道を走るもんか。
ついでに言うと、ノーヘル運転も蔓延するだろう。ヘルメット着用はあくまで「努力義務」に過ぎないからだ。