原付以上の性能なのに、無免許で走れる

じつは原付バイクの基本はこれで、元来「小さなエンジンのオートバイは非力なんで、坂道などはペダルでアシストするといいんだよ」という発想から生まれた。本田技研の原点「バタバタ」(1947年)などがこれにあたる。

ところが技術の進歩から、エンジンが強力になり、50ccでもスロットルをひねれば時速50キロなんて楽々出るようになった。

その電動モーター版がこれ。

それが、原付1種と同等、いやそれ以上の性能を持ちながら、保安部品も、ナンバーも、免許もなく歩道を走っている。中には1000W(125ccバイクと同等)みたいなハイパワー型もある。危なくて仕方がない。交通ルールも知らない若者(つまり無免許なんだろう)が車道を逆走していたりもする。

違法フル電動自転車。ナンバープレートが付いていれば「電動原付バイク」として車道を合法に走れるが、現実はこう。
筆者撮影
違法フル電動自転車。このモデルはナンバープレートがあれば「電動原付バイク」として車道のみ合法に走れるが、現実はこう。

ただ、これに関しては話が単純で、「ナンバー付けて、免許取って乗れ、アホが。警察も警察だ、取り締まれ」というに尽きる。

では、警察はなぜ取り締まらないのか。警察は「青切符(現在検討中)がないので取り締まりが容易じゃない」「見た目に違法合法の区別がつきにくい」などの理由を挙げるが、ひとことで言うと「取り締まりの人手が足りない」だと思う。

実はここのあたり、分類①の問題のありようは、分類③の特定小型とまったく違う。

お行儀よく見える「脱法」ペダル付きバイク

【分類② 脱法電ジャラス自転車】
アシスト率オーバー・電アシもどき

MTBやクロスバイクが電動アシスト化されたように見えるのがこれだ。

脱法電アシもどき。女性は私の前で「ツーキニスト」顔負けのスピードで、楽々ペダルで走り去っていった。
筆者撮影
脱法電アシもどき。女性は私の前で「ツーキニスト」顔負けのスピードで、楽々ペダルで走り去っていった。

「常にペダルを回しているし、一見お行儀のいい電動アシスト自転車」に見えながら、猛スピードで楽々坂道を上っていくタイプ。

これは時速10キロから24キロまでのアシスト率漸減部分(図表1参照)ができていない。

ネット広告でも「ペダル楽々、一瞬で最高速に」などとうたっているのがこれで、「アシストは24km/hまで」とあっても、24km/hギリギリまで強力アシストが効いていたりする。この場合、ペダルが単なるスイッチかスロットルになっているだけだと思ってもらって間違いない。

2023年1月に摘発された京都市の自転車販売店「京の洛スク」が販売していたのがこれだ。時速45キロまでアシストできるのに、「電動アシスト自転車」として販売していたため、不正競争防止法違反で書類送検された。スロットルがついてないだけで、非常にハイパワーで危険なのは同じだ。

なお、大手メーカーが作って、日本法人で売っているE-BIKEはおおむね日本レギュレーションを守っている。このあたりもまぎらわしいところで、外観からは区別がつかない。「脱法」と言われるゆえんだ。

だが脱法と言われても本当は違法。一時流行った「脱法ドラッグ」と同じだ。