60代の64%が「貯蓄2000万円未満」

「30歳~39歳」では貯蓄額「300万円未満」が約32%と突出して高いのですが、年齢階級が上がるに従い少しずつ貯蓄額が上がっていく様子が分かります。「50歳~59歳」で最も高いのが「500万円~1000万円」で22.3%、「1000万円未満」が約53%を占めています。

ところが、「60歳~69歳」になると「3000万円以上」の層が最も高い約23%となっています。おそらく60歳でいったん定年を迎えて、まとまった退職金を手にしているためだと思われます。70歳以降は貯蓄を取り崩しながら生活するためか、「3000万円以上」の割合は減少し、もっと低い貯蓄額のテーブルに移行している様子が分かります。

このデータで注目したいのは、年金生活に入ろうとする年代である「60歳~69歳」の層でも、貯蓄が2000万円以上の人は約36%、言い換えると約64%は2000万円に満たない貯蓄で年金生活に突入しているという現実です。「1000万円未満」は約42%で、そのうち「300万円未満」という人も14%います。

結局のところ、年金収入と貯蓄という所与の条件を踏まえて、自分の暮らしぶりを調整することで折り合いをつけていくしかありません。

したがって、老後資金を考える際には、平均額から見える「確からしさ」ではなく、「自分の場合はどうなのか」というところから出発することが重要です。そのうえで、どのような問題点があるかを洗い出し、解決のための方策を具体的に考えていくというステップを踏んでいきます。まずは「基本生活費の不足分を計算する」からスタートです。

「ねんきんネット」で年金見込み額を試算

【ステップ1】基本的生活費の不足分を計算する

公的年金の受給開始が65歳ですから、そこから25年分の基本生活費の不足分を算出します。25年では不安という人は30年分でも構いません。算出方法は以下の通りです。

基本生活費不足分={「①老後の予測生活費/年」-「②老後の収入(公的年金・企業年金・個人年金等)/年」}×25年

①「老後の予測生活費/年」の見積もり方

現在の生活費をベースにして、「リタイア後にかからなくなるお金(住宅ローンや教育費など)」と「リタイア後にかけたいお金(レジャー費など)」を織り込んで見積もります。

②「老後の収入(公的年金・企業年金・個人年金等)/年」の見積もり方

公的年金は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の年金見込み額を試算してください。勤務先に企業年金がある人や個人年金に加入している人は、支給額と支給期間を確認します。①から②の合計額を差し引き、25年分を掛けると基本生活費不足分が出てきます。