日本の公共交通機関のあるべき最低条件

2016年に起こった軽井沢のスキーバス事故、2021年の八街児童5人死傷事故、2022年4月の知床観光船事故と、移動にまつわる悲惨な事故の記憶は社会から消えていません。こうした事故が起これば、責任主体である事業者や監督官庁への責任追求が特に厳しいのが日本の社会です。

厳しい法律により、毎回の出庫前と帰庫後の2回のアルコールチェックを含む、資格を持った運行管理者による対面点呼や、細かなチェック表に基づく車両の運行前点検がタクシー運行現場の常識です。

毎回の出庫前と帰庫後の2回のアルコールチェックの様子
写真=筆者提供
細かなチェック表に基づく車両の運行前点検
写真=筆者提供
細かなチェック表に基づく車両の運行前点検
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大前提として何も起こさないようにするためのあらゆる知見と厳格なルールに基づく事前回避、そして万が一何か起こったときに誰が責任を取るのかを明確にしておくことこそが日本の交通機関のあるべき最低条件だと考えます。

一方で、お客様をご不快にさせる乗務員が一部存在するのも確かです。これについては引き続きも乗務員教育を鋭意徹底し、お客様の「安心」を得られるよう改善を図っております。

ライドシェアは「ワーキングプア」を増長させる

海外のライドシェアサービスにおける「運転手の労働者性」のあり方を巡っては、現在も司法の場で議論が続いており、法制度として確立したとは言えない状況です。

例えば、アプリから「不正行為」を通知された後に自動的に解雇されたドライバーが反論する機会すらも与えられない事案も発生しています。NYでは、ライドシェア大手2社が州内の運転手に賃金を過少に支払っていたとされる問題を巡り、合計で3億2800万ドル(約490億円)もの和解金支払いに合意したと11月に発表があったばかりです。

全産業の賃上げに取り組む日本政府が目指すワーキングプアのいない社会とも逆行するこのような状況下にある海外のケースを本当に参考にすべきでしょうか。